「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」‥‥‥。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として編集・書き下ろしし、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

テストも人間関係もうまくいかない子に共通する「欠けている能力」とは?Photo: Adobe Stock

子どもに関する悩みの多くは「言語化力」と関係する

 □ 読書感想文が「あらすじ」ばかりで、自分の意見が書けない
 □ 「楽しい」「すごい」など同じことばを何度も使ってしまい、表現が単調になる
 □ テストの記述問題で答えがあいまいになり×をもらいやすい
 □ 算数の文章題を読み違えて、計算はできても答えを間違える
 □ 考えていることを伝えられず、「やる気がない」と誤解される
 □ 意見をはっきり言えず、友達の言うことに流されやすい
 □ 気持ちをうまくことばにできなくて、急に泣いたり怒ったりしてしまう

「これって、うちの子のことかな」と、ドキッとされた方もいるかもしれません。

 これらは、いずれも子どもたちの「言語化力」がうまく育っていないことが原因で起こりやすいものです。

 言語化力とは、頭の中の漠然とした意見や情報を、的確なことばにして相手にわかりやすく伝える力のこと。
 実は、言語化力が上がると読解力も上がります。なぜなら、相手のことばを理解するには、自分のことばで置き換えて解釈する力が必要だからです。

言語化力はあらゆる教科の学びを支える土台

 さらに重要なのは、言語化力は国語だけに役立つものではないという点です。

 算数の文章題を正しく理解するのも、理科の現象を説明するのも、社会の歴史を整理して覚えるのも、すべて「ことばで考える力」が根っこにあります。

 つまり、言語化力はあらゆる教科の学びを支える土台であり、学習全般の理解を深める根底となる力なのです。

 そんな大事な力を、小学生のうちにしっかり育んでいけば、学習も人間関係もぐっとラクになり、お子さんの可能性はグっと広がっていくでしょう。

 *本記事は、山口拓朗著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の「保護者向けはじめに」から抜粋・編集したものです。