忙しい師走は体がこわばり老廃物(=毒)がたまりやすい時期。疲れ・コリ・痛み・不眠など、小さな不調が積み重なりやすくなる季節でもあります。そんな時に最適なのが、整体や鍼灸の技法を自分にほどこす「自力整体」。全国で約1万5000人が実践し、「よく眠れるようになった」「無理なくやせた」「長年の痛みが軽くなった」といった声が多く寄せられています。
新刊『すっきり自力整体』では、老廃物を流し、コリやむくみ、そして余分な脂肪まで落ちやすくなる方法を紹介。
本稿では、著者の矢上真理恵さんが実践する「3つのめぐり習慣」と、新刊から“めぐりを整える”効果の高いワークを抜粋してお届けします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

私が忙しくても「毒がたまらない体」でいられる理由
「寝ても疲れがとれない」「夕方には脚がパンパン」「どれだけ動いてもむくみがとれない」。
私のレッスンに来る多くの方が、こうした不調に悩んでいます。
そして、かつての私自身もそうでした。
東洋医学では、こうした不調の背景には“五つの毒”の滞りがあると考えます。
呼吸が浅くなると残る「息の毒」、めぐらない「血の毒」、むくみの原因になる「水の毒」、便秘による「便の毒」、そしてストレスで生まれる「念の毒」。
この五つがたまると、体は重く、老けやすく、太りやすくなっていくのです。
私はこれを知ってから、
「毒をためない体=めぐりを整えること」を最優先に考えるようになりました。
そして、そのために欠かせないのが自力整体です。
子育ても仕事も勉強も。そんな毎日を“疲れにくく”してくれるもの
私の朝は子どもの支度からはじまり、日中は事務的な仕事や勉強、夜はレッスン……。
正直「呼吸してたっけ?」と思う日もあります(笑)。
40代での子育ては、うれしさと同時に体も気力も意外と消耗しやすいものだと実感します。
それでも周りからは
「いつも元気ですね」
「疲れて見えない」
と声をかけていただくことがあります。
その理由は、とてもささやかなこと。
毎日ほんの少しだけ、“毒の出口”をつくる習慣を続けているからです。
私が憧れる、年齢に関係なくしなやかに若々しく活躍している方たちを見ていると、みなさん自然にこの“出口づくり”を日常に取り入れているように感じます。
特別な努力ではなく、小さな積み重ねが体も心も軽くしてくれる――そんな実感があります。
私が毎日続けている「毒をためない3つの習慣」
ここからは、忙しい日でも取り入れやすい、私の“小さな毒出し習慣”を紹介します。
1)息の毒を流す―30秒の深い呼吸
見た目以上に威力があるのが、この30秒の呼吸法。
10秒かけて吸い、10秒静止、10秒でゆっくり吐く――それだけです。
洗濯物の前、仕事の合間、子どもが寝たあとなど、ほんのひと呼吸の時間でOK。
胸まわりがふっとゆるんで、浅くなっていた呼吸が戻り、自律神経がやわらぎます。
2)血と水の毒を流す―関節ゆらし
血と水に関連が深いのは下半身の血やリンパのめぐり。太ももや足首の内側を自重でマッサージしたり、鼠蹊部(そけいぶ)を伸ばす自力整体の動きをおこなうことで、下半身が温まり全身の水・血の流れが改善されます。とくに女性特有の生理痛などの不調や、むくみ、重だるさには効果的。夕方の脚の重さがすっと軽くなることも多く、私にとっては頼れる習慣です。
3)念の毒を流す―心を見つめる
東洋医学が心と体を一体と考えるのは、この念の蓄積も健康に深く関わるからです。経絡では「内関(ないかん)」という手首のツボや、胸の真ん中にある「膻中(だんちゅう)」を押すことで胸の詰まりが取れて気分が軽くなります。私は心が辛いと感じたら深呼吸をしながらそれらのツボを押します。また、頭の中にあるモヤモヤを書き出すという習慣を10年以上前から続けており、定期的にセラピーを受け自分の感情を客観的に観察しています。私は、「心」を見つめる=「念」を出し切る、という作業を体と同様に大切にしています。
毒をためない体は、「軽くて、太りにくくて、老けにくい」
毒が流れはじめると、体は正直です。
・朝、スッと起きられる
・むくみが気にならなくなる
・肩や背中のこわばりが軽くなる
・お腹が温かくなり、自然と代謝が上がる
・気づいたら体重が落ちていた
「頑張ったから変わる」のではなく、「毒の出口をつくったら変わる」のです。
私はこの感覚に救われました。
ぜひ、今日1分だけ、自分のための「毒の出口」をつくってみませんか?
毒をすっきり流す! 「血海のツボ刺激」のワーク
そこで、新刊『すっきり自力整体』から、手軽にできる毒出しメソッドをご紹介します。
「血海のツボ刺激」のワークは、経絡(気血の通り道)の1つ、脾経(ひけい)をほぐして老廃物を促します。とくに女性ならではの不調解消に役立ちます。
実践方法は、次の画像を参考におこなってみてください(※画像は『すっきり自力整体』より)。

◎「血海のツボ刺激」のワーク
【手順1】
◆右足の外くるぶしを左ももに乗せて、右手で右内ももの「血海」のツボを押して刺激
*血海(脾経)=ひざのお皿から指2・3本ほど上、内側のくぼみ
*POINT:血海のツボは、点ではなく、すこし広い範囲を押す
【手順2】
反対側も同様におこなう
時間に余裕のある日は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」で、全身をしっかり整えるのもおすすめです。
※『すっきり自力整体』では、このほかにも整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。






