【解説】「優等生」ではない「原石」を探す勇気

では、指標やメディア情報を超えて、真に有望な中小型株やバリュー株を見つけ出すには、具体的にどのような視点が必要なのでしょうか。

全ての指標が及第点の「優等生銘柄」は、安心感がある反面、すでに多くの投資家に発見され、株価が適正水準(あるいは割高)まで買われているケースがほとんどです。

特に中小型株投資の醍醐味は、まだ数字が整っていない、あるいは一時的な要因で数字が悪化している「原石」を見つけることにあります。「現在はPERが高い(あるいは赤字)だが、独自の技術で市場シェアを急拡大させている」「不人気業種だが、経営陣が変わり体質改善が進んでいる」といった、単純なスクリーニングでは弾かれてしまう銘柄にこそ、将来大きく成長する大化け株への種が眠っています

一次情報で「ストーリー」を描く

誰でもアクセスできるまとめサイトや指標情報だけで勝負するのではなく、決算説明資料や有価証券報告書、あるいは企業のウェブサイトといった「一次情報」に触れる癖をつけましょう。

そこから、「なぜこの会社は今後伸びるのか」「なぜ市場はこの価値に気づいていないのか」という独自の成長ストーリーを描けるかどうかが分かれ目です。機械的なスクリーニングはあくまで「作業」であり、そこから先のビジネスモデルの優位性や経営者の熱量を読み解く「分析」こそが、他人と差をつける投資家の腕の見せ所なのです。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。