凡人は「指標」だけを見て、達人は「サジ加減」を見る…投資で勝ち残るたった1つの視点
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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唯一信頼できる「カンニングペーパー」の入手方法
あえて唯一おすすめできるリストがあるとしたら、パフォーマンスのよいファンドマネージャーが運用するアクティブファンド(投資信託)の運用報告書に記載されている保有銘柄かもしれません。
ネット証券でも人気のある日本株アクティブファンドに少額でも投資すると、ネット上で目論見書や運用報告書を閲覧することができます。
そこに記載されているのは、第一線で株式を運用するファンドマネージャーが、多角的な視点から総合的に勘案して、実際に投資をしている銘柄ですから、目利きの判断材料になります。
凡人と達人を分ける「サジ加減」の魔術
私自身は一定のスタイルにこだわらず、PER(株価収益率)などさまざまな投資スタイルの総合評価によるスクリーニングを1つの起点としつつ、先に述べた業績予想など他の要素も加味して総合的に評価できる会社を探しています。
「そんなの当たり前だろう」と怒られそうですが、「総合的」に考える際のあんばいも微妙であり、ノウハウが必要です。
では、プロの知恵を借りつつ、独自の「総合力」を養うためには、具体的にどう向き合えばよいのでしょうか。
【解説】「プロの答え」を「自分の問い」に変える
東証株価指数(TOPIX)など市場平均を上回る運用成績を求められる「アクティブファンド」の運用報告書は、確かに宝の山です。しかし、そこに載っている銘柄をただ後追いで買うだけでは、「思考停止」の罠に陥ってしまいます。
重要なのは、「なぜこのファンドマネージャーは、この時期に、この銘柄をポートフォリオに組み入れたのか?」と逆算して考えることです。
プロの選球眼をトレース(追体験)することで、表面的な数字には表れない「評価のポイント」や「相場の空気感」を擬似的に学ぶことができます。これこそが、カンニングペーパーの最も賢い使い方です。
相場環境に合わせた「調合」の技術
「総合的なあんばい(サジ加減)」とは、料理の味付けにも似ています。素材(銘柄)が良いからといって、どんな時でも同じ調理法(画一的な指標判断)が通用するわけではありません。
市場が悲観的な時は「財務の健全性」を重視し、楽観的な時は「将来の成長ストーリー」を多めに評価するなど、その時々の相場環境に合わせて重視する指標の比重を変える柔軟性が求められます。
正解のない株式市場で勝ち残るために不可欠な、この「絶妙なバランス感覚」と具体的な視点について、ここから詳しく紐解いていきましょう。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











