狙うは「3つの円」が重なる場所だけ
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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「正論」の壁を突破する――流派に縛られない柔軟な戦い方
投資判断は「多面的」「総合的」に行うべし、というのは至極、正論です。しかし、話が漠然としすぎていますよね。そこで、私自身の経験に基づいて、かみ砕いて説明していくことにしましょう。
私自身は、バリュー(割安)株投資、グロース(成長)株投資、高配当株投資など、ある1つの投資法に固執しないように意識しています。
勝てる銘柄には共通点がある――私が設ける「3つの関門」
私が投資の目利きをするときには、必ず3つのポイントをチェックするようにしています。
❷広義のバリュー(割安)性
❸カタリスト(相場がいつ気づくか)
では、なぜ多くの指標や分析手法がある中で、あえてこの「3つの関門」に絞り込む必要があるのでしょうか。それは、株式投資における「失敗のパターン」を構造的に防ぐためです。
「良い会社」を「安く」買っても勝てない理由
多くの投資家は「❶ビジネスモデル(企業の質)」と「❷バリュー(割安さ)」の2つだけで判断してしまいがちです。
確かに、「素晴らしいビジネスを行う会社を、割安な価格で買う」ことは投資の王道です。しかし、それだけでは不十分なのです。なぜなら、市場がその割安さに気づき、評価を訂正するきっかけがなければ、株価は「万年割安」のまま放置され、資金が長期間拘束されてしまうリスクがあるからです。
最後のピース「タイミング」を見極める
そこで重要になるのが、第3の視点「❸カタリスト(材料)」です。
「良い会社(❶)」が「割安(❷)」に放置されており、かつ「近いうちに市場が注目せざるを得ないイベント(❸)」が控えている。この3つの条件が重なった時、初めて「勝てる確率」と「資金効率」の両立が可能になります。
3点の交差する場所だけを狙い撃つ
常に意識していただきたいのは「3つの円が重なる中心点」を探すイメージです。どれか一つでも欠ければ、それはリスクとなります。
ビジネスモデルが弱ければ倒産の危機があり、バリューでなければ高値掴みになり、カタリストがなければ時間を浪費します。
「質」「価格」「時期」。この3つを同時に満たす銘柄を見極める技術こそが、流派を超えて利益を出し続けるための最強の武器となるのです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











