中学受験をする6年生にとって、受験直前期は、もっとも伸びる時期です。どうやって最終的な志望校や併願校を決めればいいのか、合否を分けるのは何なのか? 志望校合格のための「過去問対策」や「直前期の心構え」までが一冊にまとった『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著)から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

合格率80%でも落ちる子の共通点…「当日にピークを持ってこられない」親の勘違いPhoto: Adobe Stock

本番3か月前から80%が出ていた子は要注意!

模試の判定は良ければいい」というものでもありません。本番3ヶ月前であれば、私は「40~60%くらいがちょうどいい」と思っています。

 この頃に第一志望の合格率が80%など、あまり高い値が出てしまうと、子どもはどうしても慢心してしまいます。緊張感がなくなってしまうため、これまで詰め込んできたものがポロポロ抜け落ちていくだけでなく、一番肝心な秋以降の成績の伸びにアクセルを踏まなくなってしまうのです。

入試で必要なのは「当日にピークをもってくること」。入試の3ヶ月前にピークが来ても意味がないのです。

 9月の学校別模試で第一志望、第二志望ともに合格率80%が出たJ君。親子ともに「これで安心」と、すでに合格した気分。J君は勉強に身が入らなくなり、お母さまからも「まあ、大丈夫でしょう」と必死さがなくなってしまいました。

 その後の模試で60%になっても「今回は調子が悪かっただけ」と現実を直視しようとせず、11月の模試で最低偏差値を叩き出し、親子ともにパニックに陥りました。ここで大切なのは、この数ヶ月で機能低下した学力を一から立て直すことです。

 しかし、厳しい結果を直視したくない気持ちが強く、「今さら基礎固めなんて」と地道な勉強を軽視し、ひたすら過去問ばかりを解いて、残念な結果に終わりました。

40%なら、各教科あと10点ずつ積み増せばいい

 実際、合格率40%というのは、それほど悪いわけではありません。

 例えばある模試を見てみると、合格率40%と80%では得点差にして38点でした。

 つまり、各教科あと10点ほど上積みできれば、80%の判定に食い込めるわけです。算数で言えば、計算問題をあと2問正解する。国語は漢字を落とさない……、などとしていくと、簡単に合計で40点近くを積み増すことができます。

 ですから私は、「%ではなく、点数を見てください」と言っています。常に「あと何点、積み増せるか」で考えるのです。

 特に算数は1問あたりの点数が大きいため、計算ミス1問と一行題の答え書き間違いの計2問だけで、偏差値が5以上変わることもあります。

 合格率や偏差値にあまりとらわれすぎず、とにかく本番に目を向けましょう。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。