ますます過熱する中学受験。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介する。

【カリスマ家庭教師が伝える】「ちゃんと学校選びしておけば…」合格したのに“絶望”する家庭の共通点Photo: Adobe Stock

勉強や部活の現実は学校によって大きく違う

合格が目的となる中学受験期間中は、入学してからの生活まで思いを馳せる余裕はありません。しかし、中学入試は進学先確保の入り口に過ぎず、中高一貫校に進学するとそこでの生活が6年間続きます。

勉強と部活の実像は学校によって大きく異なるため、事前にきちんと調べておく必要があります。

勉強量とフォローの体制

私が教え子たちの進学後を見ていて、非常に大事だと感じるのが、「勉強の内容・宿題の量」です。

中学受験が大変とは言っても、科目は4つ以下です。しかし中学に入ると、英語が加わるだけでなく、各科目が細分化されます。

ある中高一貫校の中1の時間割は「数学(代数/幾何)、国語(A/B)、理科(物理/化学/生物/地学)、社会(地理/歴史)、英語、音楽、美術、家庭、技術、保健体育」と1週間に16科目!(この他にも総合、論理、道徳など)。主要科目だけでも11科目に分かれています。

公立中学校や私立中堅・標準校の多くは、中1の時間割は「数学、国語、理科、社会、英語、音楽、美術、技術家庭、技術、保健体育」の10科目で、主要科目は5科目です。

比較的余裕で合格し、かつ器用な子は、前述のような科目数が多い学校でもついていけますが、ギリギリ合格だったり、一つ一つの勉強に丁寧に取り組むタイプの子は、あっという間についていけなくなります。

最初は頑張っていても、中間テスト・期末テストで破綻してしまうのです。

しかし、学校のHPや説明会では、一年間の科目ごとの時間数は載っていても、時間割までは載っていません。学園祭や説明会で教室に入る機会があれば、時間割のチェックは必須です。

また、あまりに宿題が多かったり、難しかったりすると、それだけで学校が嫌になってしまいます。

宿題に対して学校側にフォロー体制(補習や後れを取っている子に個別に対応する等)があるかどうかも、きちんと確かめておきたいポイントです。

難しい宿題が出ても、学校側のフォローがあればなんとかやっていけるもの。自力でどうにかしなければならない学校では、本人と家庭の負担は相当なものになり、中学に入って早々に家庭教師をつけた……という話も少なくありません。

その見極めは、学校説明会ではなく学園祭で中学生や高校生をつかまえて「中学受験の頃と今、どちらが大変?」と聞けばすぐにわかります。

「中学受験より辛い」と暗い顔をして通う子を見ると胸が締めつけられます。

そうならないためにも、ぜひしっかりとリサーチしておきましょう。

部活は心の拠りどころになる

部活は6年間の心の拠りどころにもなります。

鉄道の大好きな子が、文化祭で鉄道研究部を見つけると目を輝かせ、「この鉄研に入りたいから受験、頑張る!」と奮起することは珍しくありません。

大人になってからも、中高6年間の中で一番仲が良いのは同じ部活の仲間たち、ということもありますよね。

しかし、「中学に入れば思い切り野球ができる」と夢見て、中学受験期は野球を一旦お休みして頑張ったのに、いざ中学に入ってみると「勉強が大変で部活どころじゃなかった」「中高一貫校なのに中3の夏で部活は一度引退だった」というケースもあります。

「部活を推奨しています」と言いながら成績下位者の入部を積極的に認めない、赤点を取ったら部活禁止という学校もあれば、部活のかけもちOK、「文武両道」をうたい積極的に部活をさせる学校もあります。

同じ部活でも、学校の方針や顧問の先生の熱意によって、自校内でとどまるか、積極的に対外試合に挑むかも左右されます。

また、表向きには「週3日」でも、「自主トレ」という名目で週6日が暗黙の活動になっていることもあります。

学園祭などで興味を持つ部活があれば、ぜひ部活の実態もしっかり聞いておきましょう。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。