アリババ株は今年に入って80%以上上昇しているPHOTO: GILLES SABRIE FOR WSJ
人工知能(AI)技術を巡る米中両国の競争が激化しているにもかかわらず、米国の投資家は中国のAI関連企業に資金をつぎ込んでいる。
投資家は、AIモデルを開発する中国ハイテク企業の株価を押し上げ、中国のハイテク株全体の動きに連動する上場投資信託(ETF)への投資を増やしている。ファンドマネジャーらによると、中国に本拠を置くベンチャーキャピタル会社がAI関連投資向けに米ドル建てで資金を調達する一方、中国を長年避けてきた米国の基金が中国市場への復帰を検討している。
こうした機運は、米議会が安全保障を理由に、中国へ流れる米国資本に対する規制強化を求める中で高まっている。国防予算の大枠を決めるために議会に毎年提出される国防権限法案が7日に公表され、クリスマス前の採決が予定されている。この法案には、中国のAI関連などのハイテク産業への米国からの投資を制限するバイデン前政権時代の規則を強化する権限を、ドナルド・トランプ大統領に付与する条項が盛り込まれている。
マイク・ジョンソン下院議長(共和、ルイジアナ州)は7日、「共産主義中国による侵略行為を支えている投資は終わりにしなければならない」と述べた。
米中の地政学的対立は、中国の非公開会社への投資意欲をそいできた。しかし、ディープシークをはじめとする中国製AIモデルが米国製と競争できることが今年示されたのを受けて、公開市場の投資家たちは中国での投資機会にますます引き付けられている。米国の投資家は、中国のAI関連企業の公開株を購入する際に何の制限も受けない。
「中国は実に巨大な市場だ」と、野村の中国インターネット株研究主管を務める史家龍氏は述べた。「米国の投資家からの資金流入は今後増えるだろう」
香港とニューヨークに上場している中国電子商取引大手アリババグループの株価は、年初来で80%超上昇し、4年ぶりの高値を付けた。同社はAIインフラの構築と汎用人工知能(AGI)の開発のために、今後3年間で530億ドル(約8兆2700億円)を投資する計画だと述べている。AGIは人間と同等レベルの知能を指す。







