米テネシー州フランクリン在住の数学教師ブライアン・ハーンさん(51)は、10年にわたり貯蓄の大半をテック株につぎ込んだ。今年、人工知能(AI)を巡る熱狂を追い風に、市場が過去最高値を更新する中で、それらを全て売り払った。何年もの間、投資資産の約80%をテック株が占めていた。上場投資信託(ETF)や個別の半導体銘柄などだが、10月、その売却で得た資金の大半を金(ゴールド)に移した。市場が大幅下落に見舞われた際、金は安全な避難先になるとの見方が多い。「私にとって株価上昇が続くと想定するのはリスクが大きすぎた」とハーンさんは語る。米国の個人投資家はこれまで、自社の未来をAIに賭けるテック企業の株を熱心に買い入れ、主要株価指数が急騰するのに一役買ってきた。だがオープンAIの「チャットGPT」が世界中でAI関連の熱狂を引き起こしてから3年がたち、一部の投資家はバブルの真っただ中ではないかとの懸念を抱いている。