投げ売り・利確売りはもう終わり?インフレ抑制で再注目されるインド株、2026年は“逆襲の年”へ【投資信託の最前線】

2025年のインド株式市場は、大型株が牽引する形で堅調に推移しました。一方で、小型株は調整し、先進国株と比較してやや見劣りする結果に。この成績の差は日本国内でも、インド株型投資信託の解約増加という形で現れています。しかし、足元でインド準備銀行がインフレ抑制を理由に利下げを決定し、2026年度の成長予測を引き上げたことで、インド経済への楽観的な見方が再び広がり始めています。成長加速が期待される「2026年のインド株の展望」を解説します。

2025年のインド株は大型株優位で小型株は下落
先進国株と比べると成績が見劣りする1年に

 2025年11月のインド株相場は総じて堅調な動きとなりました。

 インドの主要株価指数を見ると、大型株で構成されるNifty50指数は7、8月と下落した後、9月は+0.8%、10月は+4.5%、11月は+1.9%と3カ月連続の上昇となっています。2025年8月にトランプ米政権がインドからの一部輸入品に対して50%と高水準の関税を発動したことなどから、インド経済への懸念が広がりました。しかし、その後の株式相場は上昇に転じています。

 他の規模別の株価指数でも見てみましょう。中小型株指数であるNifty Midcap150指数は、大型株と同様に3カ月連続で上昇しています。その一方で、小型株指数であるNifty Smallcap250指数は、11月に-3.4%と3カ月ぶりの下落に転じています

 2025年の年初来(11月末時点)で見ると、大型株は+10.8%、中型株は+5.9%、小型株は-5.7%に。まだ、12月は終わっていませんが、時価総額の大きい企業が優位だった1年であり、先進国株と比較してもやや見劣りする1年だった、と言えそうです。

日本で買えるインド株型投信は足元では解約が優勢
ただ合計残高は過去最高水準をキープ

 では、日本で買えるインド株型投資信託の資金フローを見てみましょう。

 2025年の前半は一進一退でしたが、足元のインド株相場が反発していることで利益確定の解約が優勢になっています。10月には-681億円と過去最大の資金流出額を記録。11月は-448億円と流出額がやや減速したものの、5カ月連続のマイナスとなっています(モーニングスター・ダイレクトのデータによる)。

 足元で米国のテクノロジー株が大きく上昇する中で、インド株の成績が冴えないことも背景にあると思われます。ただし、10月の資金流出額が最大といっても、日本で買えるインド株型投資信託のトータルの残高は3.5兆円程度。過去の水準から大きく増加し、依然として高い水準であることは確か。つまり、解約率はまだ限定的と言えます。

 そういった意味では、投資家のインド経済やインド株式に対する長期的な成長見通しはまだ強気と見られます。

インド中銀は利下げを決定し予想成長率を引き上げへ
インド経済に対する楽観的な見方が広がる

 ちなみに、2025年12月5日にインド準備銀行(インドの中央銀行)は、インフレが抑制されていることなどを理由に、主要政策金利のレポ金利を0.25%引き下げて5.25%とする利下げを決定しました。また、インド準備銀行は2026年度のインフレ見通しを2.6%から2.0%に下方修正する一方、GDP成長率の予測を6.8%から7.3%に引き上げました

 このことから、再びインド経済に対する楽観的な見方が広がっています。

 貿易政策をめぐる懸念などが残るものの、原油価格の下落などインド経済にとっての追い風もあります。再びインドの高い成長見通しに注目が集まることも期待されます。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
ダイヤモンド・ザイ NISA投信グランプリとは
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。

<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧

日本株総合部門
日本中小型株部門
米国株部門
世界株部門
新興国株部門
リート部門
フレッシャー賞
もっとがんばりま賞
(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017

本記事は2025年12月13日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。