
インド株市場は、 2025年7月から9月にかけて、主要株価指数(Nifty50)が3カ月で-3.6%と軟調な動きに。特に米国による50%関税の発動や、医薬品への100%関税報道といった貿易摩擦をめぐる不透明感が、市場全体の重しとなった。この下落を受け、日本のインド株型投資信託からも資金が流出。一方で買われているタイプも。インド株型投資信託の直近の「タイプ」別の資金の流出入の動向をチェックしていく。
米政権のインドへの関税50%に加えて
医薬品への100%関税報道も株式相場の重しに
インド株式相場は、2025年7~9月に軟調な動きとなりました。インドの主要株価指数を見ると、大型企業で構成されるNifty50指数(大型株)は7月に-2.9%と5カ月ぶりに下落、8月も-1.4%となり、2カ月連続マイナスとなりました。その後、9月は+0.8%と小幅に反発したものの、7~9月期の3カ月を通して見ると、ー3.6%となりました。
株価が軟調となった原因は、主に貿易をめぐる不透明感です。まず8月27日にトランプ米政権がインドからの一部輸入品に対し、アジアで最も高い水準となる50%の関税を発動したことで、インド経済への楽観的な見方が後退しました。また、9月に入ってからもインドの医薬品に対して米国が100%の関税をかけると報じらました。さらに、トランプ米政権が高度技能職向けの就労ビザ「H-1Bビザ」の申請手数料を引き上げるとの意向を示したことなども、インドのIT業界に打撃を受けるのではないかと、インド株市場にとっての重しとなりました。
規模別の株価指数で見ると、Nifty Midcap150指数(中型株)が7-9月で-4.3%、Nifty Smallcap250指数(小型株)が-6.2%の下落と、時価総額の小さい企業の下落率が大きい相場となりました。インド株相場は2025年3月以降、中小型株を中心に大きく値を戻していましたが、下落時にはマイナスも大きくなっています。
外国株型投信全体の資金流入は好調な裏で
インド株型投資信託は3カ月連続で売られた
こうした流れを受けて、日本のインド株型投資信託への資金流入も再び解約が優勢になっています。上のグラフに示したように、2025年9月のインド株型投資信託の資金流入額は、-305億円と3カ月連続のマイナスとなり、流出額は2021年3月以来の大きさとなりました。
一方で外国株式型全体でみると、2025年9月は大幅な資金流入となっています。このことからも、インド株型投資信託に対する投資家の懸念の大きさがうかがえます(モーニングスター・ダイレクトのデータによる)。
相場軟調時もインデックス型の資金フローはプラスを維持
インド経済の長期の「成長ストーリー」には変化はない
では、インド株投資信託であれば、すべてが売られているのでしょうか? インド株投資信託のタイプ別に資金フローを見ていきましょう。
以下のグラフではインド株型投資信託を4つのタイプ別に資金流出入を集計しました。
2025年9月は、市場全体に投資するパッシブ(インデックス型)がかろうじてプラスを維持しているものの、それ以外のタイプは幅広く解約の動きが出ています。設定が新しいものでは資金流入になっている投資信託も見られますが、設定の古いアクティブ型の投資信託や、残高の大きいインフラや消費関連のテーマ型投資信託からの資金流出が目立ちます。
資金の流出は足元のインド株相場の下落が一因と考えられますが、インド経済の成長ストーリーが崩れたわけではありません。市場全体に投資するインデックス投信が大きくマイナスに動いていないところを見ても、そう考えている投資家は少なくなさそうです。投資金額や商品タイプを見直しつつも、ポートフォリオの一部に含めたい投資地域であることに変わりはないと考えていいでしょう。

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<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧
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本記事は2025年10月18日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。