写真はイメージです Photo:PIXTA
どこにでもいる、いつも不平不満を言う人
何かというと文句ばかり言う人があなたの会社にもいないだろうか。会議のたびに会社の施策に異を唱え、上司の方針にも「それは違う」と口をはさむ。周囲からは「また始まった」と煙たがられ、本人は本人で「どうせ自分の意見なんて通らない」と苛立っている。
上司から見れば、チームの士気を下げるやっかい者で、同僚から見れば、空気を乱す面倒な人だ。
だが、こうした“文句ばかり言う人”が持つ不満の裏には、会社がまだ見ぬ「構造的な課題」が隠れていることが多い。にもかかわらず、彼らの声は「ネガティブ」「面倒」として切り捨てられ、組織はその貴重なセンサーを失ってしまう。
では、この“文句ばかり言う人”を「洞察力ある人材」に変えるには、どうすればいいのか。
ジャーナリングで「文句」が変わる
その鍵が、ジャーナリング(Journaling)である。
ジャーナリングとは、感情や思考を“書き出す”ことで構造的に理解する技法だ。デジタルデトックスやメンタルヘルスが注目されたことに伴い、ここ数年、静かなブームとなっていて、一部では専用の筆記具まで販売されるようになっている。
「日記と何が違うのか?」と思うかもしれないが、単にあったことを記すのではない。「なぜそう感じたのか」「背景にどんな構造があるのか」を探る――いわば、自分自身との対話である。
文句を言う人は、言葉を外に放てるほどに、感受性と反応速度が高い。しかし、そのエネルギーが外向きに暴発しているだけで、内省の回路を持っていない。
ジャーナリングによってその回路を開くと、怒りや不満が「思考の素材」に変わる。つまり、他人にぶつけていた“文句”が、自分の中で整理され、“洞察”になるのである。
ジャーナリングを習慣化した文句ばかり言う社員は、「なぜ腹が立ったのか」「何が歪んでいるのか」を自分で見つめ直せるようになる。そして、「制度の不備」「評価の偏り」「会議設計の欠陥」など、構造的な問題に気づく。その瞬間、彼らは“面倒な社員”から、“組織の問題を可視化するセンサー”に変わるのだ。







