株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の買い時」をどう見極めているのでしょうか?「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」―そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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トレンドの初動を捉える
チャート分析で大きなリターンを狙うなら、「トレンドの初動」を捉えられるかどうかが大きな分かれ目になります。うまく波に乗れると、その後の上昇で大きく利益を伸ばせるからです。
とはいえ、多くの個人投資家にとって悩ましいのが、「トレンドが切り替わった瞬間」をどう見極めるか、という点でしょう。どんな指標を見ればいいのか、何が起きたら注目すべきなのか。誰もが悩むポイントです。
では、トレンド転換のシグナルはどこに表れるのでしょうか。次のような場面は特に注目すべきだと、窪田さんは言います。
・売買高が急増している
それまで売買が少なく、値動きも地味だった銘柄で、突然、売買高が跳ね上がる。
・株価が勢いよく上昇している
売買高の増加と同時に、株価も大きく動き始める。
この2つが重なるとき、市場では何が起きているのでしょうか。
多くの場合、取引額の大きい機関投資家が買いに動いています。つまり、その企業の評価を変えるような「新しい好材料」が出た可能性が高い、というわけです。
この材料が市場全体に行き渡る前に動ければ、トレンドの初動に乗ることができます。その結果、その後の大きな上昇局面で、しっかり利益を伸ばせるのです。
あなたなら、どうする?
ここで、『株トレ』に掲載されているチャートのクイズを見てみましょう。

あなたは、このチャートの銘柄を1年前に1,000株保有していました。
株価が下がり続けるのを見て、430円で500株を損切り。その後、株価は一時335円まで下落しましたが、そこから急反発し、現在500円まで上昇しています。
さて、あなたの取るべき行動は次のうちどれでしょうか?
A:売り
B:買い増し
C:様子見
ここでの判断の正解は…
窪田さんは、この場面において、「売り」は最悪の判断だと言います。
「含み損を抱えて嫌な思いをしていたので、株価が急反発した時に「売っておサラバしたい」気分になる人も多いようですが、過去の経緯にとらわれてはなりません。今だけ見て、判断してください」(『株トレ』より)
つまり、感情を排して、チャートの情報だけで冷静に判断することが重要だということです。
では、チャートから読み取れる情報を整理してみましょう。

売買高の増加を伴いながら株価が上昇しているのは、この銘柄が人気になっている証拠です。
移動平均線も上向きに転じ、高値も更新しています。ここは、上昇トレンドが加速しやすい局面だと考えられます。
したがって、この場面での正しい判断は「買い増し」です。



