株式投資をする人にぜひ読んで欲しい1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。クイズを解きながら「株のトレードで勝つ技術」を身につける画期的な1冊だ。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの楽天証券・窪田真之氏。何万回にも及ぶ膨大な数のトレードから確立した「トレードで勝つ技術」を1冊に凝縮した本書から、特別に一部を抜粋して紹介する。

株トレPhoto: Adobe Stock

トレンド相場で稼ぐか? ボックス相場で稼ぐか?

 相場には、大きく分けて2種類あります。

トレンド相場:上昇トレンドまたは下降トレンドが続く

ボックス相場:一定範囲で上がったり下がったりを繰り返す

 ここで、読者の皆さんに質問です。皆さんは、トレンド相場とボックス相場、どちらが好きですか? あるいは、得意ですか?

「ボックス相場が好き」ならば、失礼ながらおそらく初心者かと思います。あるいは長年にわたってトレードしているけれど、あまりうまく稼げないと悩んでいるのではないでしょうか。

トレーディングで稼ぎやすいのはトレンド相場

「買い」ポジションを持って上昇トレンドが続く限り持ち続ければ、大きく利益が膨らみます。1日中株価を見ることができる人ならば、上昇トレンドで「買い→売り」を何回も繰り返して稼ぐ方法もあります。

 ただし、大損することがあるのもトレンド相場です。下降トレンドに入っている銘柄を損切りしないで持ち続けると、大きく損失が膨らみます。下げトレンドに入ったら、問答無用に「売り」です。トレンドに素直についていくことがトレーディングで稼ぐ鉄則です。

ボックス相場では、あまり大きな利益が得られない

 狭い範囲で行ったり来たりを繰り返すので、ちまちまと何回もトレードすることができます。何回も勝てば気持ちいいですが、利益はあまり大きく膨らみません。

 ここで、トレンド相場で稼ぐ「鉄則」をお伝えします。

トレンドに乗る

損切りは早く、益出しは遅く

 個人投資家、特に初心者の欠点は、「益出しが早く、損切りが遅い」ことです。「含み益」は絵に描いた餅にならないように早く「利益確定」したい、「含み損」は「損失確定」しないで待っていればいつか株価が回復するかも、という心理があるようです。

「益出しが早く、損切りが遅い」と、良い銘柄を早々に手放して悪い銘柄だけを残すことになります。そういうやり方だと、以下のようにボックス相場でちまちまと稼いでも、上昇トレンドで稼げずに下降トレンドで大損します。

 次のチャートは、「4回トレードして3勝1敗」ですが、トータル損益はマイナスです。初心者に多い売買パターンで、益出しが早く、損切りが遅いことが特徴です。

初心者に多いトレードのパターン初心者に多いトレードのパターン

 上級者は、ボックス相場ではあまり動きません。上昇トレンドが出たところで買って、トレンドが続く限り保有します。下降トレンドの初期に買ってしまった場合は、速やかに損切りします。

タイプの違う「2種類の売買シグナル」

 株の売買シグナルには、大きく分けて2種類あります。

(1)トレンド系(順バリ)シグナル:トレンド相場で有効

「上昇トレンド」「下降トレンド」継続を示す。上がっている株がさらに上がる、下がっている株がさらに下がることを示唆。

(例)13週移動平均線が上向きだから「買い」

(2)オシレーター系(逆バリ)シグナル:ボックス相場で有効

「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」を示す。上がっている株が下げに転じる、下がっている株が上げに転じるタイミングを読む。

(例)13週移動平均線からの上方かい離率が30%だから「売り」

 トレンド相場では、トレンド系シグナルがよく当たります。トレンドが出ている時にオシレーター系シグナルを使うと失敗します。

 トレンドの転換点ではオシレーター系が有用です。ただし、いつどこでトレンドが転換するか、誰にもわかりません。たとえば、株価が暴落して13週移動平均線からの下方かい離率が30%になったから「売られ過ぎ」と判断して買ったらさらに暴落。下方かい離率が40%になって損切りした直後に急反発、もあり得ます。

短期トレードは、順バリが鉄則

 成功する可能性が高いのは、トレンド系です。短期トレードに徹するならば、トレンド系だけ見たほうが良いと思います。一番の狙い目は、ボックス相場がトレンド相場に変わる時です。

 オシレーター系は、長期的には正しくても、短期的には外れる可能性が高いので短期トレードには向きません。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)