米国が人工知能(AI)を巡り最初に直面した大きな政治的試練の一つで、巨大テック企業が勝利した。だがこの闘いは、多くの雇用を失わせる見込みがあるテクノロジーに対し、ポピュリスト(大衆迎合主義者)が強硬に反対する新たな兆候を示した。数週間に及ぶ駆け引きは先週、大統領執務室で決着した。ドナルド・トランプ大統領は、テック企業がAIの開発を遅らせると懸念する州レベルの規制実施を阻止するための大統領令に署名した。この措置は、共和党内からの異例なほど声高な反対に遭っていた。反対したのはフロリダ州のロン・デサンティス知事や、トランプ氏の支持層であるMAGA(米国を再び偉大に)派に大きな影響力を持つスティーブ・バノン氏などだ。だが、巨大テックが政策闘争に望み通り勝利したことに対し、懸念を抱くのは保守派のポピュリストだけではない。対極の立場にあるリベラル派も同様に、AIが与えうる影響について次第に辛らつな疑問を投げかけている。