カルシウムを含むケイ酸塩岩が置かれた米新興企業ブリムストーンの物置小屋で作業するコーディー・フィンクCEOカルシウムを含むケイ酸塩岩が置かれた米新興企業ブリムストーンの物置小屋で作業するコーディー・フィンクCEO Photography by Poppy Lynch for WSJ

 はんれい岩は平凡な岩石だ。非常に安価で豊富にあるため、砂利や道路建設に利用されている。だがこの岩石は、米国が中国産の重要鉱物への依存を断ち切るための手段になるかもしれない。

 米カリフォルニア州オークランドの西端にある工業地帯で、新興企業ブリムストーンが独自の化学と市販の設備を使い、はんれい岩に処理を施してアルミニウムやマグネシウム、その他の 中国から頻繁に輸入される鉱物 を生産している。

 正面玄関の内側に自転車が並ぶ同社の研究所は、静かに稼働している。防護服を着た作業員が、ビーカーや窯、耐久性や組成を調べている鉱物標本の間を動き回っている。はんれい岩やそれに類似するカルシウムを含むケイ酸塩岩の袋が、裏の小屋に積み上がっており、オフィスにも点在する。

 これまで報じられなかったブリムストーンの取り組みは、中国が長年支配し、米国が切実に求める原材料について、国内供給源の開発を目指す全国的な動きの一環だ。シリコンバレーやノースカロライナ州、英国などの新興企業が、 中国の重要鉱物輸出規制 に対する新たな解決策を提示し、記録的水準の民間投資と人工知能(AI)の進歩がこれを後押ししている。

 シリコンバレーで自動運転技術を研究していた科学者たちが、その数式を重要鉱物の発見に役立てている。起業家はAI技術の活用により、鉱物探査の成功率を向上させたり、重要鉱物の特性を模倣する金属合金を作り出したりしている。