「タームプレミアム」上昇で2%に迫る長期金利、日銀の政策金利引き上げが必要Photo:PIXTA

18日から日銀金融政策決定会合
「タームプレミアム」に注目集まる

 総合経済対策を支える巨額補正予算案の閣議決定以来、加速する長期金利の上昇が止まらない。

 12月8日には、新発10年国債の利回りは一時、1.970%まで上昇、2007年6月以来、18年半ぶりの高水準だ。

 日本銀行の植田和男総裁は、9日の衆院予算委員会で最近の長期金利上昇について問われ、「やや速いスピードで上昇している」と注視する考えを示し、「急激に上昇する例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額などを実施する」と語った。

 長期金利が過度に上昇すれば、財政の利払い費増だけでなく、住宅ローン金利上昇などで、民間投資などを含めた経済全体に負荷をかける。

 長期金利急騰という事態に、金融政策がどう対応すべきか。

 中央銀行が操作する政策金利は、短期金利(オーバーナイト金利)である。そして、長期金利の基本は、理論的には、まず金利の予想の平均により決まる。

 しかし、長期間資金を固定することに伴う金利リスク・インフレリスク・財政持続性に関する不確実性が存在するため、投資家は一定のリスクプレミアムを要求する。このプレミアムが「タームプレミアム」(term premium)であり、長期金利の変動のかなりの部分は、このタームプレミアムの上昇・低下によって説明可能だ。

 今回の長期金利上昇は、高市政権の拡張的財政政策による要因が大きいが、タームプレミアムの上昇によって長期金利が上昇している場合、中央銀行が低い政策金利を維持すると問題が生じる。

 18日から、日銀の金融政策決定会合が開かれるが、日銀は政策金利引き上げを決めるべきだ。