衆院予算委員会で答弁する植田和男日銀総裁衆院予算委員会で答弁する植田和男日銀総裁=12月10日 Photo:SANKEI

12月18日から金融政策決定会合
政策金利0.75%へ引き上げの公算

 米連邦準備制度理事会(FRB)は10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続となる利下げを決定した。一方、日本銀行は12月18,19日に開く金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート誘導金利)を0.5%から0.75%に引き上げる可能性が高い。引き上げが行われれば、今年1月以来となる。

 今月1日に植田和男総裁が名古屋での講演で、追加利上げを示唆する発言を行ったことから、金融市場では今月の決定会合で利上げが決まるという観測が一気に強まっている。

 講演の中で植田総裁は、利上げを巡る環境について米国の関税政策などによる不透明感が薄れ、経済・物価の中心的な見通しが実現していく確度は高まってきており、今は企業の積極的な賃金設定行動が継続するか見極める段階と位置付けた。

 さらに、人手不足感が強く、賃上げの裾野を広げる方向で作用する可能性が高く、賃上げの原資となる企業収益は高い水準が維持されるなど、積極的な賃金設定が続く環境は整っており、春闘の初動モメンタムは良好との認識を示した。

 その上で植田総裁は、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集をしており、12月の金融政策決定会合では、内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を点検・議論し、利上げの是非について適切に判断すると述べた。

 ここまで明言するのだから、よほど想定外の出来事が起こらない限り、12月決定会合での利上げはほぼ確定と考えてよいだろう。

 注目は、植田総裁が決定会合後の会見で、2026年以降の利上げシナリオや政策金利の最終到達点などについて、どのような考え方や見通しを示唆するかだ。

 植田総裁は、日本経済での景気を刺激もしないし冷やしもしない中立的な金利の水準、いわば金融政策正常化のゴールとなる政策金利の水準について、推計の幅を狭める意向を国会答弁でも語っている。

 筆者は、「1%台半ばを中心としたレンジ」を日銀が中立金利として想定し、27年度中に中立金利到達のシナリオを描いているとみている。