Photo by Yoichi Morohoshi
小さな命を救う、小さな行動……「猫バンバン」と呼ばれる運動が、大きな反響を呼びクルマ社会に浸透しつつあります。そもそも野良猫の数が多いから、こういう事態が起きるのでしょうか? 2025年、日本中を騒がせた「クマ」について考えると、野良猫は一概に悪とは言い切れません。人間と自然が共存するためのヒントを探ります。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
「猫バンバン」とは何なのか?
「猫バンバン」とは、クルマに乗り込む前にボンネットやドアなどを平手で「バンバン」と叩きましょうという運動です。なんでそんなことをするのかというと、猫がクルマのエンジンルームやサスペンションアームの間、タイヤの上などに潜んでいることがあるからです。
ボディをバンバンすることで猫に「クルマが動くよ」と教えて、クルマから離れてもらうことが目的です。運転後のクルマは熱が残っているため、猫にとっては暖かく気持ちのいい場所。入りくんだ構造は身を隠すにも最適なので、猫は好んでクルマの内部に潜みます。
その状態でエンジンを始動し走り出せば、猫は大怪我をし、命を落とす可能性もあります。猫にとって不幸であるのはもちろん、ドライバーにとっても悲しい出来事となるでしょう。
猫バンバンは昔から習慣的に行っている人も多かったのですが、運動として広がりを見せたのはSNSの力が大きいでしょう。2015年11月に日産自動車が公式Twitter(現X)にて「#猫バンバン」を発信し反響を呼びました。翌16年1月には公式ホームページ内に「#猫バンバンプロジェクト」を立ち上げ、ステッカーの抽選配布などを開始。ロゴやステッカーのデータをホームページ内でダウンロード可能にし、今もXやフェイスブックで展開しています。







