クルマのメンテナンスというと、多くの人がまず思い浮かべるのがエンジンオイルの交換でしょう。その交換時期については、実にさまざまな「説」が紹介されています。中でも、「こまめに交換することこそが美徳」のような書きぶりをよく見かけます。果たして、それは本当に正しいのでしょうか?(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
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「エンジンオイルはこまめに交換すべき」は
本当に正しいのか?
クルマのエンジンオイル交換は、どのタイミングで行うのが適切なのでしょうか? 「できるだけこまめに交換するのが良いんじゃないの?」と思った人は、ぜひこの記事を最後まで読んでください。
エンジンオイルの交換タイミングについては、自動車メーカーが取扱説明書に明記しています。具体的には、「1万5000kmもしくは1年、どちらか先に訪れたほう」といった書き方が一般的です。
つまり、「こまめな交換がベストか」という問いに対して、正解は、「いいえ」です。
自動車メーカーがギリギリのオイル交換時期を指定するなんてことは、どう考えたってありません。もし、エンジンに不具合が起きたら、ユーザーから「指定どおりにやっているのに調子が悪くなった」とクレームが来ます。自動車メーカーは、かなり余裕を持ってこの距離や時期を設定しています。よって、「1万5000kmもしくは1年」が正しい交換時期なのです。
しかし、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどでは、「5000km」や「半年ごと」の交換を勧めています。なぜ?どうして??なんだかピンとこないという人も多いでしょう。
もしくは、「オイル交換は1万円以下でできるものだから、一大事になる前に念のため交換しておこうかな……」といった感じで、相手に言われるままにオイル交換をした経験がある人も多いかもしれません。
加えて、雑誌やネットなどのメディアでも同様に、メーカー指定よりも短い距離や期間での交換を薦める記事をよく見かけます。なぜなのでしょうか?