さらに第2項にはこうある。

「所有の意思が善意であり、かつ過失がなかった場合は10年で取得時効が成立する」

書影『見えない壁 北方四島の記憶』(本間浩昭 KADOKAWA)『見えない壁 北方四島の記憶』(本間浩昭 KADOKAWA)

 このような民法の規定は、欧州各国の民法をまねて作られたものであるが、国際法上の規定はない。しかし、この取得時効の考えに基づく国際判例は存在する。

 従って北方四島も、「日本固有の領土であることを絶えず主張し続ける」ことが重要で、領土紛争では、占領している期間が長くなればなるほど、返還交渉においては前の持ち主は不利になるとされている。

 とはいえ、国際法上は、現在住んでいる住民を追い出すことはできない。だとすれば、最終的なゴールも明確になる。

「いま住んでいるロシア人を追い出すことのない形で、どのように暮らすのがお互いにとって良いのかをいまのうちに真剣に考えておくべきだと思います」

 あまりにもっともな提言に、私はうなってしまった。