オバマに嫌われていた「極右」な安倍晋三安倍晋三元首相 Photo:SANKEI

アメリカと中国の対立がかつてないほどに高まっている昨今だが、2012年頃は、中国の怒りの矛先が日本に向かっていたことを覚えているだろうか。中国と領土問題でモメた挙げ句、世界各国から孤立しかけていた日本を救ったのが、当時の安倍晋三首相だった。日米同盟を強固にし、日中戦争を米中戦争に転換させた安倍氏の外交戦略とは?※本稿は、北野幸伯『[新版]日本の地政学』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。いっても、ロシアは「軍事力世界2位」と呼ばれた国なのですから。

民主党政権「尖閣国有化」が
中国を大激怒させてしまう

 2012年9月、当時の野田内閣は、尖閣を国有化しました。激怒した中国は同年11月、ロシアと韓国に「反日統一共同戦線」創設を提案しています。

 これ、「トンデモ陰謀論だ!」「ネトウヨの妄想だ!」と思われるでしょう。ですから、証拠を提示しておきましょう。

「ロシアの声」2012年11月15日付「反日統一共同戦線を呼びかける中国」から抜粋します。

〈中国の著名な専門家は、中国と同様、日本と領土問題を抱えるロシアと韓国に対し、反日統一共同戦線を組むことを呼びかけた。この共同戦線は日本の指導部に対し、第二次世界大戦の結果を認め、近隣諸国への領土要求を退けさせることを目的としている〉
〈(2012年11月)14日モスクワで行われた露中韓の三国による国際会議「東アジアにおける安全保障と協力」で演説にたった中国外務省付属国際問題研究所の郭憲綱(原文では、簡体字で郭宪纲ですがこれですと読者の環境によっては文字化けしますので、改変を希望します。プレビュー時に版元さんに要確認)副所長は、こうした考えを明らかにした。郭氏は、日本は近隣諸国との領土問題の先鋭化に意識的に対応し、第二次世界大戦の結果を認めないことを見せ付けたと強調している。郭氏は対日同盟を組んでいた米国、ソ連、英国、中国が採択した一連の国際的な宣言では、第二次世界大戦後、敗戦国日本の領土は北海道、本州、四国、九州四島に限定されており、こうした理由で日本は南クリル諸島、トクト(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)のみならず、沖縄をも要求してはならないとの考えを示した〉