以下が、書籍『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』で紹介している解説と回答です。
1回目の競走でわかること
まず、1回目の100メートル走からわかることを確認してみましょう。
2人が走る速度は各々がつねに一定ですから、1回目の競走で、
であるとわかりました。
つまり、(当然ですが)ライバルの方が足が速いと言えます。
2回目の競走を検証する
2回目の100メートル走では、ライバルはスタート地点より10メートル下がった地点からスタートしました。
つまりゴールまで、ライバルは110メートル、あなたは100メートル走ったことになります。
1回目の競走で、ライバルが100メートル走る間に、あなたは90メートル走るとわかっています。
ライバルにとって100メートル、あなたにとって90メートルの地点、つまり……
ゴール手前10メートルの地点で2人は並びます。
そして、ゴールまでは残り10メートルあります。
その間、足が速いライバルがあなたをわずかに追い抜くため、ライバルが先にゴールします。
2回目もライバルが勝った
ということで、AIの回答は正解でした。
この問題からの「学び」は?
この「2回目の競走」の問題からは、以下の点が学べます。
①「差」ではなく「比」で考えること
この問題で大事なのは、「10メートル負けた」という事実そのものではありません。同じ時間で、相手は100メートル、自分は90メートル進んだ、という関係に注目すると、速さの比がすでに決まっていることがわかります。論理的に考えるとは、目に見える差よりも、その裏にある関係を見つけることです。
②変わらない条件を軸に考える
2回目の競走ではスタート位置や距離が変わりますが、速さの比だけは変わりません。条件が増えたときほど、「変わらないものは何か」を押さえることが大切です。そこを軸に考えると、複雑そうな問題もシンプルに整理できます。
③直感はあてにならないことがある
10メートルのハンデと聞くと、有利になったように感じますが、速さに差があれば結果は変わらないこともあります。この問題は、「なんとなくそう思える」という感覚ではなく、事実をもとに考えることが論理的思考の基本だと教えてくれます。
このように、「直感を疑って冷静に考える力」が楽しみながら得られる問題でした。
(本稿の問題は、シリーズ第1弾『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋したものです。本シリーズでは同様の「考えるだけで賢くなれる問題」を多数紹介しています)









