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地方では少数の高齢医師が崩壊寸前の地域医療を使命感で支える一方、大都市部においては医師が過剰。医師の偏在問題を是正するには、どうしたらいいのか?都会で診療したほうが儲かる仕組みを変える必要があるが、日本医師会は強硬に反対しているという。※本稿は、東京新聞編集局編集委員の杉谷 剛『日本医師会の正体 なぜ医療費のムダは減らないのか』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。
1人欠けても医療圏に影響が及ぶ
年間360日勤務の実態に迫った
東京・池袋駅から西武鉄道の特急電車で1時間20分。2024年12月11日、埼玉県秩父市の山あいに木造平屋建ての大きな病院を訪ねた。
1887年(明治20年)に開院した「秩父病院」。15の診療科と52の入院ベッドがある。7人の常勤の医師と、近隣の診療所や県内の大学病院から交代で来る16人の非常勤医師で、1日約160人、年間延べ約4万8000人を診察する。ほかに夜間の当直だけ頼んでいる医師が数人いる。
秩父市と長瀞など4町からなる秩父医療圏(人口約9万5000人)の貴重な総合病院で、昨年は大小約500件の手術も行った。
「休日も朝も、患者さんの回診に病院に来るので、フルに休むことはほとんどなくて。1年に360日ぐらい病院に来ているんじゃないかなと思う。自分が手術をした患者は、1日に1回は必ず診たい。急変することもありますから」
そう話すのは副院長の大野哲郎、49歳。外科は最盛期に7人の常勤医がいたが、今は大野とベテランの山田正己の2人だけだ。







