一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』のオンライン講座「決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!」 。全4回の講座で、ザイのアナリスト2人が決算書を要領よく読むコツを徹底解説。第3回となる今回は、いよいよ本題の「10倍株」の発掘法を学んだ。この記事では、その内容を一部お届けする。(ダイヤモンド・ザイ編集部)
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⇒毎年何パーセントの利益成長が必要?株価10倍を実現する“成長の方程式”【決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株! 第3回:その2】
生活苦なのに、なぜ株価は最高値?
“インフレと株”の残酷な真実

ザイ優待アナリスト 小林大純(こばやし・ひろずみ) 早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て2022年6月より現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。

ザイ配当アナリスト 仲村幸浩(なかむら・ゆきひろ) 立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
小林オンライン講座「決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!」、第3回を始めます。今日もよろしくお願いします!
前回から1カ月ほど空きましたが、その間も株式市場はすごいことになっていました。
仲村こんにちは。本当にそうですね。
今日(収録日)は10月の最終日ですが、日経平均株価が史上初の5万2000円台に乗せたということで、毎日ニュースを見るたびに「史上最高値更新」という文字が踊っています。
小林日経平均が5万円の大台に乗せたことが大々的に報道されていますが、一方で面白いというか興味深い現象が起きています。
実は今、SNSなどで「株高不況」という検索ワードがバズっているようなんです。
仲村確かに見かけますね。今の状況が好況か不況かという議論は置いておくとしても、生活実感としてはあまり景気が良くない。
それなのに株価だけが上がっていることに違和感を持つ人が多いということでしょうか。
小林その通りです。この「生活実感と株高のギャップ」を埋める考え方が、実は投資を考える上で非常に重要になってきます。
そもそも、なぜみんな生活が辛いと感じるのか。最大の要因は言うまでもありませんが、物価高、つまりインフレですよね。
仲村賃金がなかなか上がらない中で、物の値段だけが上がっていけば、当然生活は苦しくなります。
小林物価が上がると、消費者はどういう行動をとるでしょうか。今まで買っていた商品をワンランク落としたり、あるいは買う数量を減らしたりといった防衛策をとらざるを得なくなります。
仲村いわゆる「節約志向」ですね。私もスーパーに行くと、少しでも安いものを探してしまいます。
小林そう、それが「生活実感が良くない」理由です。しかし、これを企業の視点で見るとどうでしょうか。
たとえ消費者が買う商品のランクを下げたり、数量を減らしたりしたとしても、商品単価そのものが上がっているため、結果として消費者が支払う「支出額」は増えているケースが多いんです。
仲村なるほど。個人の財布から出ていくお金が増えているということは、そのお金を受け取る側の企業の売上も、見た目上は増えていることになりますね。
小林そうなんです。金額ベースで見ると、インフレによって企業の収益額が膨らむ。そして株価は企業収益に連動しますから、結果として株価も上がる。
これが「生活実感は最悪なのに株価は最高値」というギャップの正体の一つです。
仲村だからこそ、一般的に「インフレの時は株を買え」と言われるわけですね。
小林その通りです。物価高で生活が大変だからこそ、余ったお金を少しでも投資に回して、自分自身の資産をインフレから守る「ヘッジ」が必要だということです。
仲村生活が苦しいのに株を買っていいのかと悩む方もいるかもしれませんが、むしろ「株価は企業収益とつながっている」と理解すれば、自分のお金を守るために投資が必要だということが見えてきますね。
小林はい。そういった背景を踏まえた上で、今回の本題である「10倍株」の探し方に入っていきましょう。
前回までは、決算短信や有価証券報告書の読み方を勉強してきましたが、今回はそれを使って、実際に株価が10倍になる銘柄、いわゆる「テンバガー」を見つける方法を解説します。
あなたの身近にもある!
10年で株価10倍になった「お宝銘柄」はどれ?
小林実際の探し方に入る前に、まずは過去にどんな銘柄が10倍になったのか、実例を見てみましょう。
小林例えば、ゲーム会社のカプコン。この会社は10年前の決算発表直後から見ると、なんとこの10年で株価が最大18倍になっています。
仲村18倍ですか! 100万円投資していたら1800万円……夢がありますね。
小林では、ここで視聴者の皆さんにクイズです。ここに挙げたのは、皆さんもよくご存じの小売チェーン4社です。
この中で、過去10年で株価が10倍になった会社が1つだけあります。それはどれでしょうか?
仲村選択肢Aがパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ディスカウントストアのドン・キホーテなどを展開)、Bが神戸物産(「業務スーパー」などを展開する食品スーパー大手)。
Cがマツキヨココカラ&カンパニー(マツモトキヨシ、ココカラファインなどのドラッグストア)、D:ファーストリテイリング (ユニクロ、GUなどを展開するアパレル大手)ですね。
小林どれも勝ち組というか、街中でよく見かける成長企業ばかりですよね。
仲村全部10倍になっていてもおかしくない気がしますが、正解は1つだけなんですか?
小林そうなんです。正解を発表しましょう。過去10年で株価が10倍になったのは……「B:神戸物産」です。
仲村おお、業務スーパーの神戸物産でしたか! 確かにこの10年で一気に全国区になったイメージがあります。
小林神戸物産の株価は、この10年で約13倍になっています。ちなみに他の銘柄も決して悪くありません。
パン・パシフィックとマツキヨココカラは約4.1倍、ファーストリテイリングは約2.8倍に上昇しています。
仲村みんな数倍にはなっているんですね。その中でも神戸物産が突き抜けていたと。
小林はい。他にも有名どころでは、東映アニメーションや、半導体関連のレーザーテックなどがあります。
仲村特にレーザーテックに関しては、10倍どころか45倍になっていますね。
小林ここで重要なのは、これらが決して「得体の知れない小さなベンチャー企業」がいきなり急騰したわけではないということです。
一定規模以上の企業でも、業績次第でこれだけ株価が伸びるポテンシャルがあるんです。











