一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』のオンライン講座「決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!」 。全4回の講座で、ザイのアナリスト2人が決算書を要領よく読むコツを徹底解説。今回は実際に株価が10倍になった企業の決算書を分析し、そこに見られる共通点と、株価上昇のメカニズムを理論的に解明した。この記事では、その内容を一部お届けする。(ダイヤモンド・ザイ編集部)
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⇒「ROE20%でも届かない」10倍株に必要な条件とは【決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株! 第3回:その3】
10倍株の共通点を探れ!
現在の高ROE企業も、10年前は「普通」だった?

ザイ優待アナリスト 小林大純(こばやし・ひろずみ) 早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て2022年6月より現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。

ザイ配当アナリスト 仲村幸浩(なかむら・ゆきひろ) 立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
仲村さて、過去10年で10倍になった株の「直近の決算書」を見てみましょう。
小林先ほど、決算短信の1ページ目にある「ROE(自己資本利益率)」に注目してくださいとお伝えしました。実際に10倍株たちの数字はどうなっているでしょうか。
仲村一覧表を見ると、どの企業も売上や利益が成長しているのはもちろんですが、ROEがとてつもなく高いですね。
一般的な合格ラインは8%と言われていますが、レーザーテックに至ってはROE46.9%もあります。
小林そうなんです。46.9%というのは、株主から預かった元手に対して、年間で約半分近くもの利益を叩き出している計算になります。凄まじい効率性ですよね。
では、ここで一つの疑問が湧きます。これらの企業は、10年前からこれほど高収益だったのでしょうか?
仲村確かに。最初からエリート企業だったのか、それとも成長したのかは気になります。
小林そこで、彼らの10年前の決算書の数値を掘り起こして比較してみました。こちらのスライドをご覧ください。
仲村これは……意外ですよね。今の数字と比べると、景色が全然違います。
例えばレーザーテックの10年前のROEは15.8%。もちろん立派な数字ではありますが、今の40%超えという異常値と比べると「そこそこ優秀な優良企業」くらいのレベルです。
小林そうなんです。他の10倍株も同様で、最初から現在のような圧倒的な高ROEだったわけではありません。
10年という時間をかけて、徐々に、しかし着実に効率性を高めていったケースが多いんです。
仲村なるほど。つまり「最初からROEが高い会社」を探すのが正解ではなく、「ROEが進化していく過程」こそが10倍株の正体である可能性が高いわけですね。
小林その通りです。今のROEだけを見て「もう成長しきっている」と判断するのではなく、過去からの推移、そして未来への変化を見極めることが重要です。
これが今回の考察の第一のキーポイントです。









