一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』のオンライン講座「決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!」 。全4回の講座で、ザイのアナリスト2人が決算書を要領よく読むコツを徹底解説。今回は、10倍株に必須となる「年率26%の利益成長」を実現するための具体的なメカニズムと、投資家が見るべき「ROEの変化」について深掘りした。この記事では、その内容を一部お届けする。(ダイヤモンド・ザイ編集部)

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たった「2つの数字」でOK!初心者でもできる“10倍株”の見つけ方【決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株! 第3回:その1】

利益成長率を操る2つのレバーとは?
「ROE」と「配当性向」の方程式

「ROE20%でも届かない」10倍株に必要な条件とは【決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!第3回:その3】

ザイ優待アナリスト 小林大純(こばやし・ひろずみ) 早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て2022年6月より現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。

 
「ROE20%でも届かない」10倍株に必要な条件とは【決算書1枚で見つかる10倍株・連続増配株!第3回:その3】

ザイ配当アナリスト 仲村幸浩(なかむら・ゆきひろ) 立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。

no-img2 仲村

株価を10年で10倍にするためには、利益を年率26%で複利成長させ続ける必要があるという衝撃的な事実が判明しました。

どうすればそんな高い成長を実現できるのでしょうか。

no-img2 小林

毎年26%成長というのは、普通の企業のなりゆき経営ではまず達成できません。しかし、決算書の仕組みを理解すると、成長スピードをコントロールする「レバー」が存在することが分かります。

ここで使うのが、第1回・第2回で学んだ「ROE(自己資本利益率)」と「配当性向」の2つです。

no-img2 仲村

少しおさらいすると、ROEは「株主から預かった元手(自己資本)に対して、年間何%の利益を出したか」という“稼ぐ力”の指標。

配当性向は「出した利益のうち、何%を株主に配当金として渡したか」という“還元の割合”でしたね。

no-img2 小林

そうです。そして、ここで最も重要な概念が登場します。

「内部留保(ないぶりゅうほ)」です。企業が稼いだ利益から配当金を支払った後、手元に残るお金のことですね。

no-img2 仲村

内部留保というと、「企業がお金を溜め込んでいる」というイメージで語られることも多いですが、投資家の視点ではどう捉えればいいのでしょうか?

no-img2 小林

この内部留保は、決して金庫にしまわれて眠るわけではありません。

会計上、このお金は貸借対照表の純資産(自己資本)に組み込まれます。つまり、翌年のビジネスを行うための「元手」が増えることを意味します。

no-img2 仲村

なるほど。元手が増えれば、そのお金を使って新しい工場を建てたり、商品を開発したりできる。つまり「再投資」の原資になるわけですね。

no-img2 小林

その通りです。元手が増えた状態で、同じ利回り(ROE)で運用できれば、翌年の利益額は雪だるま式に増えていきます。これこそが複利効果の源泉です。

そして、この成長スピードは「ROE」と「配当性向」の2つの数字を設定するだけで、誰でも計算できるんです。

no-img2 仲村

難しい予測をしなくても、この2つの指標だけで理論上の成長率が出せるんですね。ぜひそのシミュレーションを見せてください。