25年の状況は過去の暴落前と似ている

――2025年は米国も日本も株価の最高値を更新しましたが、26年はどこまで上がる、あるいは下がると予測しますか?

桐谷 うーん、その手の質問、よく聞かれるんですけどね。そもそもね、先のことなんて分からないから私は「株主優待」という特典付きの株に投資をしているんですよ。24年は、「これから金利が付く時代になるから銀行株と損保とリースがいいんじゃないか」と予測しておおむね当たりましたけど……。

 25年は、あまりにも株価が高くなり過ぎました。私の株投資41年の経験則では、株価は上がり過ぎたら暴落する。「来年はこの銘柄がいいでしょう」と言うよりも、「暴落に備えて株主優待のある株、高利回りの株を買っておくこと」と言いたいですね。もし、暴落が起きても高配当株や優待株なら、リスクが少ないですから。

ロジャーズ 私も、米日の市場が非常に好調なことが、かえって心配です。米国株は09年以降ずっと上がり続けています。米国株がこれほど長く調子が良いことは、歴史を振り返って一度もありません。

 株価が永久に上がり続けるなんて、あり得ない。私は、すでに米国株も日本株も全て売っています。売るのが早すぎたかもしれません。でも売るのが遅すぎて損するよりもいいのです。

――次に株価が暴落するとしたら「予兆」はありますか?

桐谷 バブル崩壊も予兆はなかったんです。私はバブル時代に株を始めて、「株は値上がりしていく」と思い込んでいました。それでITバブルの時も、リーマンショックの前も、株価が上がると「もっと上がるんじゃないか」と思っていた。25年の状況って、当時と似ている気がしますね。

 ロジャーズさんは日本株も米国株も売ったとおっしゃいましたが、暴落があれば買い戻しますか?

ロジャーズ どれくらい下がるかによりますね。どの株が最も下がるかを見て、最も下がった時に賢く買いたいです。今は注視してタイミングを待っています。

桐谷広人きりたに・ひろと/1949年、広島県生まれ。365日株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段(2007年に引退)。1984年に株を始め、相場の浮き沈みを経験も、今では資産7億円。「月曜から夜ふかし」(日本テレビ)出演や講演など精力的に活動。自転車を速くこいでどこにでも行く。 Photo by Yuji Yamamoto
ジム・ロジャーズジム・ロジャーズ/1942年、米アラバマ州生まれ。米イェール大学、英オックスフォード大学卒業。1973年、ジョージ・ソロス氏と投資会社クォンタム・ファンドを設立し、驚異的なリターンを上げる。37歳で引退し、世界を旅する。2007年、一家でシンガポールへ移住。 Photo by Kazumoto Ohno