
10月20日の日経平均株価が終値で初めて4万9000円台となり、過去最高値を更新した。新NISAブームを背景に投資を始める人が増える中、企業にとって個人株主が増えるのは良いことなのか?時価総額トップ企業、トヨタ自動車の「株主優待」制度導入が意味することは?(ウィルズ代表取締役社長 CEO 杉本光生)
なぜトヨタ自動車が株主優待を始めたのか
2025年10月20日の東京株式市場は、4万9185円50銭で取り引きを終えた。自民党と日本維新の会が連立政権の樹立で合意し、自民党の高市早苗総裁が首相になる可能性が高まっている。
米国株式市場で半導体などハイテク株が上昇し主要株価指数も最高値を更新していること、そして円安も追い風となっている。一方、日銀はこの株高を背景に、少しずつETFを売却し始めた。今後、上場企業を取り巻く環境は確実に変わっていくだろう。
こうした潮流を予想していたのだろうか、さかのぼること3月3日。日本株で時価総額トップのトヨタ自動車が、ついに株主優待制度を導入した。これはIR(インベスター・リレーション)業界ではある種、エポックメイキングな出来事だった。
というのも、これまで時価総額の大きい企業は、国内外の機関投資家がIRの主なターゲットだった。国内外の機関投資家の保有比率が高い企業、すなわち時価総額が大きい企業においては、個人株主を優遇する株主優待制度は「敬遠されがち」という認識だった。
にもかかわらず、なぜトヨタ自動車は株主優待制度を導入したのか。