「節」と「厄」の意外な関係

 この「節(ふし)」は「節(せつ)」ともいいます。たとえば、「季節」とか「節分」などは「節(せつ)」と読んでいます。

「節(ふし)」と「節(せつ)」とでは読み方が異なりますが、結論からいえば、おおよそは「節(ふし)」も「節(せつ)」も同じ意味で、節目のときであり、危険がともなう「厄」の意味を含んでいます。

 季節の移り変わりがもっとも大きいのは、大晦日から元旦にかけてです。

 大晦日から元旦にかけては、年と月と日の三つが新しく生まれ変わるという大きな節目にあたります。したがって「大節供」であり、その「大節供」につくる料理が「大節供料理」、すなわち「おせち料理」と呼ばれるようになったのです。

 新しい年の年神様にお供えして、それを下ろしてきて家族が揃っていただき、大きな節目を無事に乗り越えることができたことを感謝するというのが「おせち」の本来の意味なのです。

元旦はなぜ「謹んでお慶び」なのか

 元旦は、宇宙に存在するあらゆるものが新しくよみがえるときです。 天地をはじめ、すべてのものや事象が、『古事記』の本文のはじめに記すように「天地初めて発けしとき」によみがえる日が、元旦です。

 古い伝統を守っている神職家などでは、元旦の朝に『古事記』のはじめのところを読み上げております。このような行事は、日本の歴史と伝統を知るうえでとても重要だと思います。

 そのことは一般的にも見られることで、たとえば新年の挨拶なども「謹んで新春のお慶びを申し上げます」といいます。

 つまり、新年は「謹むべきとき」なのです。それは大きな節目ですので、「うやうやしくかしこまる」という意味になります。「厄年」の習慣とも根底で共通するものがあります。新年を迎えることは大事なことであり、それだけに危険なとき、要注意のときなのです。