名物が評価される香川県と宮城県
寿司のイメージが定着しつつある富山県

 4位の香川県(22.2%)は讃岐うどん、5位の宮城県(21.9%)は牛タン、地域を代表する料理が評価の軸となっている。

「ランキング上位には、『さまざまなものが有名な地域』と『飛び抜けて有名なものがある地域』の2つのパターンがある。香川県と宮城県は後者の典型といえる」と田中社長。

 6位の富山県(21.4%)は、前年11位から順位を上げた。富山ブラックラーメンやます寿司、ホタルイカなどに加え、「寿司といえば富山」というイメージづくりが進んでいる。ミシュランガイド北陸版への掲載や、海外メディアでの紹介などもあり、食の評価が着実に高まっている。

 7位の秋田県(20.5%)は、きりたんぽ鍋や稲庭うどん、比内地鶏料理が支持された。

 田中社長は、「近年の米価格高騰を背景に、米の産地に対するイメージが相対的に上がっている可能性がある」と分析する。

 10位の石川県(19.5%)は前年4位から順位を下げたものの、加賀料理や海鮮丼、金沢カレーなど、食の評価自体は依然として高い。前年は北陸新幹線延伸による話題性があり、2025年はその反動が順位に表れたとみられる。

 11位の熊本県(19.4%)は、馬刺しや熊本ラーメン、からし蓮根が知られ、前年28位から順位を上げた。熊本県は「食のみやこ推進局」を新設し、首都圏でのPRや料理人育成に力を入れており、こうした取り組みが評価を後押しした。

 12位の東京都(19.1%)は、江戸前寿司やちゃんこ鍋、深川めしなど多様な食文化が支持された。13位には沖縄県と広島県(18.9%)が並び、沖縄そばや牡蠣料理など、地域色の強い料理が評価を集めている。

 15位以下には、いずれも郷土料理や名物が知られている地域が多い。順位は上位に及ばないものの、食の個性が乏しいわけではない。

 田中社長は、「市区町村レベルで評価されていても、都道府県のイメージとして結びついていないケースがある。たとえば、埼玉県はその典型で、個別地域の知名度に比べ、県全体の印象が弱いことが順位に影響している」と述べる。

「食事がおいしい都道府県」という評価は固定されたものではなく、地域の取り組みや話題性によって毎年変わる。次はどの地域が存在感を高めてくるのか、今後も注目していきたい。

 次ページからは、「食事がおいしい都道府県ランキング」上位20位について、各都道府県を代表する料理や食材、食品を、筆者が独自に整理した。旅の計画のお供に、現地で食べる食事選択に、ぜひ活用してほしい。