Photo by Toshimasa Ota
首都圏における中学受験塾の王者、SAPIX(サピックス)の次を担う中学受験塾はどこなのか。今、難関校志向を売りとする「少数精鋭型」の中学受験塾の人気が高まっている。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度(そんたく)なしのインタビューで明らかにする連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#12では、「難関国・私立中受験専門スーパーエリート塾」を掲げ、関西ならではの面倒見の良さで知られる、「希学園首都圏」の山﨑信之亮・学園長と対談。その前・中・後編のうち中編をお届けする。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)
「算数」は西高東低
首都圏の方が努力でカバーできる
おおたとしまさ 今回の連載企画で初めての関西系の塾さんということもあり、関西の中学受験と首都圏の中学受験の違いについてもお話しいただけますか。
山﨑信之亮・希学園首都圏学園長 算数は西高東低といわれますよね。関西は女子校であっても算数が非常に難しい。理科も「結局、計算かよ」という問題が多い。逆に首都圏の国語は深いなと、こっちに来て思いました。私は国語担当なので。国語は問題文の中に答えが書いてある科目、算数は書いていない科目だと思っていますが、関西の算数偏重は、そういう0から1を生み出す人間を求めているのかなと感じます。
それに首都圏の方が職業的な選択肢が多くて、文系にも居場所があるんだと思います。また、入試で社会をやらない学校が関西には結構あります。灘が社会をやらない理由について、前の校長先生が「暗記になるから」とおっしゃっていましたが、麻布の社会などを見たら暗記だけではないと思います。
「男女御三家・筑駒・灘…名門・難関中合格を目指すスーパーエリート塾」を掲げる希学園首都圏は目黒に本部を構える Photo by T.O.
おおた 中学受験の対策の構え方にも違いがありますよね。例えば日能研さんでも、関西では関東の7割くらいの時間で通常のカリキュラムを終えて、追加で対策をしないと対応できないと聞きます。サピックスさんのαクラスの子が浜学園さんに行くと、普通の子になってしまうとか。
山﨑 理系方面ではそうなりがちかもしれませんね。
おおた 首都圏だと浜学園すら知らない人もいて、サピックスが最強だと思っている人もいますが、関西ではそうではありませんからね。
山﨑 逆に私が首都圏に来て、理科や社会で覚えさせられている内容を見ると、すごいなと思います。知識面では首都圏の子の方が詳しいです。
おおた なるほど。受験生のトータルの負荷でいうと、関西と首都圏で違いはありますか。
山﨑 首都圏の方が、努力でカバーできる部分が大きいのではないでしょうか。一生懸命やればそれなりの点が取れると思います。僕らが子どもの頃の関西の算数は、できる子は限られているという空気感がありました。首都圏の方が、やればできるという側面が強いと思います。だからスポ根的なものが成果を出しやすい。
おおた そのスポ根的な部分が、首都圏でもすんなり受け入れられるのでしょうか。
山﨑 土地柄的にはすんなりいかないのですが、意外とそれを求めていらっしゃる親御さんは多いと感じました。時代錯誤かと思い、少しオブラートに包んで伝えていた時期もありましたが、世の中全体が子どもに優しくなっていく中で、そうではない厳しさを求めている方は一定数いらっしゃるのだなと思いました。それが四大塾(サピックス、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー)との差別化ポイントになっているかもしれません。







