瑠花さんは突然のことに驚き、どういうことなのか?と下川氏に説明を求めました。下川氏は「久村一睦様から家の売却をしたく査定の依頼を受けました」

 一睦さんの思わぬ行動にどうしてよいか分からず、瑠花さんから私に電話がかかってきました。「片岡さん!夫が離婚しようと調査をしていることに勘付いたんでしょうか?だから離婚や家の売却を急いでいるのでしょうか?夫と女性を訴える準備は間に合うのでしょうか?」と瑠花さんは混乱と不安に押しつぶされそうな声でした。

 私は「離婚は瑠花さんが同意しなくては進みませんので、今はなるべく先延ばししましょう。でも有利な離婚に向けた準備は進めなくてはいけません。下川氏には一睦さんがいる時に来てほしいと今日のところは帰っていただきましょう。そして一睦さんに連絡して勝手に進めないように伝えてください」と話して、電話を切りました。

 その3日後の瑠花さんからの電話で、さらに驚がくの展開があったことを知りました。

不動産鑑定に来た男性の
驚きの正体

 瑠花さんは私との電話を切った直後に、仕事中である一睦さんにすぐメッセージを送りました。そして下川氏にはお引き取りいただくように伝えると、下川氏は「久村一睦さんと小俣菜穂実(おまた・なほみ)はどんな知り合いですか?」と訪ねてきました。

 話を聞いていくと、下川氏は小俣菜穂実さんの父親で、娘から友達の家の売却を手伝ってあげてほしいと頼まれたそうです。瑠花さんも初めて聞いた名前で学生時代の友人なのかなと考えているうちに、一睦さんの不貞相手の女性の苗字が小俣だったことを思い出しました。

 瑠花さんは下川氏に「小俣菜穂実さんは、○○(調査で判明した住所)にお住まいですか?」と聞くと、下川氏は「そうです。そこに旦那と子ども2人と住んでいますよ」と答えました。下川氏は一睦さんの不貞相手の父親だったのです。

 瑠花さんはこの下川氏は本当に査定のためだけに来たのだろうか?などと考えながらも、なんとか平静を装い丁重にわびて下川氏には帰ってもらいました。