<チェルノブイリの黒カビが宇宙開発に貢献?>
チェルノブイリに生息する黒カビの研究成果は宇宙探査、特に宇宙飛行士を宇宙放射線からいかにして保護するかという問題解決のための、重要なヒントとなる。
宇宙放射線は宇宙飛行士に放射線障害や、がんの生涯リスクの上昇をもたらす可能性がある。
チェルノブイリで確認された菌類は、宇宙放射線にも影響を受けないこともわかっている。一部の研究者はこれらの菌類を国際宇宙ステーション(ISS)に送ったところ、地上よりも成長速度が速かったのだ(ただし、研究者たちはこの結果が複合的要因によるものである可能性もあるとしており、菌類が宇宙放射線にどう反応するかをより正確に理解するには、さらなる研究が必要だ)。
また、研究者たちは菌類が放射線を遮断できるかどうかの検証も行っており、ペトリ皿上の菌類でさえ放射線を防ぐことが出来うることも判明した。これは、菌類が放射線を実際に吸収している可能性を示すものだ。
米ジョンズ・ホプキンス大学の分子微生物学・免疫学部門の学部長を務めるアルトゥーロ・カサデバル教授は、「チェルノブイリ地域で起きているのは、高放射線環境に適応するための進化だ。科学者や宇宙機関が、メラニンのような天然色素を宇宙探査における放射線防御に活用しようと関心を寄せているのは自然な流れである。メラニンを含む素材や、宇宙で培養された黒色菌類は、宇宙船内で人間を放射線から守るのに役立つ可能性がある」と述べた。
「チェルノブイリ地域で観察される変化は、生命がいかにしぶとく、放射線汚染のような有害な環境条件にも迅速に適応できるかを示している。我々は、進化の過程が実時間で起きているのを目撃しているのだ。放射線が強い環境でより生存率の高い黒っぽいカエルが自然選択によって優勢になっている様子などがその好例である」







