2025年のランキング結果を見ると、上位には「街の名前と料理が結びついている」市区町村が並んだ。料理の種類の多さ以上に、その街を聞いた瞬間に具体的な料理名が浮かぶかどうかが、評価を左右している。

 ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「市区町村ランキングでは、食のイメージがどれだけ具体的かが重要だ。何が名物なのかが明確な地域ほど、評価につながりやすい」と話す。

北海道勢が並ぶ上位
食のイメージが集まる街としての強み

 1位は札幌市(36.7%)だった。札幌市の特徴は、特定の一品だけで語れないところにある。ジンギスカンや札幌ラーメン、スープカレーなどに加え、道内各地の海産物や農産物、加工食品が集まり、発進されているというイメージが定着している。

 田中社長は、「札幌市は、北海道中のよいものが集まっている街」と指摘。さらに、「札幌市は海に面していないにもかかわらず、カニのイメージが強いのも象徴的だ」と述べる。

 また、調査回答では「白い恋人」と具体的な菓子名を挙げる声も多く、食事だけでなく土産菓子まで含めた“札幌市の食”が共有されていることがうかがえる。

 2位は函館市(26.3%)。海鮮丼や活イカ刺し、ウニ料理など、海の幸が真っ先に浮かぶ街だ。札幌市とは異なる、港町ならではの食のイメージが確立している。

 3位の小樽市(26.1%)は、あんかけ焼きそばや若鶏の半身揚げという名物に加え、洋菓子の街としての認知度も高い。調査では、「ルタオ」という具体的な洋菓子ブランドを挙げる回答も見られ、料理とスイーツの両面で評価を集めた。

 4位の福岡市(25.8%)は、博多とんこつラーメンや辛子明太子、もつ鍋が代表格だ。屋台文化も知られるが、特に博多ラーメンと辛子明太子を挙げる人が多かった。なお、博多の辛子明太子は山口県下関市発祥という背景もあるが、現在では福岡市の食文化として定着している。

 5位の宇都宮市(24.8%)、8位の喜多方市(20.6%)、9位の松坂市(20.4%)に共通するのは、料理名そのものが地域名と結びついていることだ。宇都宮餃子、喜多方ラーメン、松坂牛という看板が、街のイメージをかたちづくっている。

「飛び抜けて有名な料理が1つある地域は、それだけで評価の軸が定まる。イベントや情報発信を通じて名物を磨き続けてきたことが、安定した支持につながっている」(田中社長)。