「おはしを正しくもつ」「自分で歯を磨く」「整理整頓をする」「ありがとうを伝える」…など、小学校入学前後に知っておきたい93のおやくそくを紹介した書籍『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』が発売された。
小学校入学準備にぴったり」「生活の基本でありながら、これまでどう教えればいいのかわからなかったので助かる」など多くの口コミが寄せられている。
本書では、生活のきほんや言葉づかい、心の守り方、学校での過ごし方まで子どもたちの毎日に欠かせないテーマを幅広く網羅している。同書の刊行に寄せて、ライターの樺山美夏さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

「友達トラブルに巻き込まれにくい子ども」の親が教えている、たった1つのルールPhoto: Adobe Stock

女子グループで“板挟み”になった娘

娘が小学校低学年の頃、友だち付き合いで悩んでいた時期があった。仲良しグループの中に、自分の意見を強く主張して譲らない子が2人いて、娘はいつも彼女たちの板挟みになっていたのだ。

最初のうち娘は、周りに合わせて楽しく遊んでいたようだが、2年生になる頃には、暗い顔で帰宅することが増えた。
(これはちょっと様子がおかしいぞ……)と気になった私は、わざと何も気がつかないフリをして、さりげなく聞いてみた。

「お帰り! 今日もお友だちといっぱい遊んだ? 何して遊んだの?」

すると、娘はうつむき加減でボソボソ話しはじめた。

「今日はAちゃんとBちゃんが遊びたいことが違って、ずっと2人で言い合いしていて一緒に遊べなかったの。私はどっちでもいいからみんなと遊びたかったんだけど。最近そんなことが多くてつまんないんだ」

娘は保育園時代から自分の意見を言うのが苦手で、人に気を遣い過ぎる傾向があった。だから、相当ストレスを感じていることが伝わってきた。

意見の食い違いは、女子グループにはよくある光景だが、娘の小学校は1学年2クラスしかなく、卒業までまだ先は長かった。友達関係がうまくいかないと学校もつまらなくなる可能性がある。

そこで私は娘に、「みんなと仲良くしたいから何も言えずに我慢しちゃうんだよね」と寄り添いながら、こう語りかけた。

「問題を解決したいときは、『賛成か反対か』で決めなくていいんだよ。それぞれが少しずつ譲り合って、お互い納得できる方法がないか、考えることも大事だよ」

そう前置きした上で、1つの解決策を提案してみた。

「AちゃんとBちゃんがケンカしないで楽しく遊ぶにはどうすればいいか考えて、Mちゃんのアイデアを伝えてみたらどうかな? 例えば、ジャンケンで順番を決めて、15分ずつみんなが遊びたいことをやるのはどう?」

娘は「ああ、そっか!いいかもね」と目を輝かせ、「明日さっそく話してみるね」と笑顔を取り戻した。次の日、勇気を出して娘が提案したアイデアに、対立していた2人の友だちも「そうしよっか!」と納得して、すぐに遊び始めることができたそうだ。

友達の考えをよく聞こう

そんな「対人関係の知恵」を子ども目線で優しく教えてくれるのが、小学校入学前後に知っておきたい93のおやくそくを紹介した書籍まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』だ。

本書の「ともだちのかんがえを よく きこう」というページには、まさに当時の娘に必要だった言葉が並んでいる。

「友達トラブルに巻き込まれにくい子ども」の親が教えている、たった1つのルール『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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・ともだちの かんがえを よくきこう。
 「そう おもうんだね」
・じぶんの かんがえを いおう。

 「ぼくは こう おもうんだ」
・みんな それぞれ かんがえていることが ちがうよ。

・ちがう かんがえの ともだちも すてきだね。

 「かんがえが ちがっても ともだちさ」

(『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』p.125)

特に、相手の意見を聞くだけでなく「自分の考えを言う」ことも等しく大切だと伝えている点がポイントだ。相手を尊重しながらも、自分の思いを言葉にする。それが「できた!」という成功体験は、子どもの確かな自信へとつながっていくだろう。娘も、自分の意見を言えたことがきっかけで、友だちとのコミュニケーションに自信を持てるようになった。

「おうちの方へ」のメッセージにも、「『さまざまな考えが集まることで、もっといい考えが生まれるんだよ』と教えてあげましょう」と記されている。自分と違う意見や価値観も、尊重し合うことでアイデアの幅が広がる。このような考え方ができる大人になれば、多様性の時代も楽しく生きていけるだろう。