今まで気づいていなかったミスに気付くためには、当然ですが、それに気付くような状況に遭遇しなければなりません。ランダム性のあるゲームで、「自分がミスをしやすい状況」が練習中に起きる保証はありません。

練習量でミスをカバーするのは
なかなか現実的ではない

 また、それに絶対に気付けるわけではありません。練習を通じて、自分がしていたミスに確率的に気付くことがあるというのが実際のところです。練習をはじめた段階では40%の場面でミスに気付けなかったのが、10時間後にはその半分である20%には気付けるようになったとすると、10時間かけることで「残りのミスのだいたい半分」に気付くようになると考えることができます。

 努力によりミスを減らすことができる一方で、完全になくなるということは永遠にありません。

図表:練習時間とミス数の関係性同書より転載

 練習時間に対してミスは半分、そのまた半分……という形で減っていくのだとすれば、ミスを1%以下にするには、20%をもう5回半分にしなければならないので、もう50時間――それまでの5倍の練習が必要になります。

 改めて考えると「練習量を増やす」という手段で目標を達成するには膨大な時間が必要であることがわかります。専業プロプレイヤーならまだしも、仕事や家庭を持ちながらこの練習量をこなすのは現実的ではありません。しかもこれは、楽観的な見積もりです。実際にはこれほど単純にうまくなっていくとは考えられません。

一度気づかなかったミスは
もう一度やれば気づくのか?

 品質管理などにおけるリスク管理の考え方に「スイスチーズモデル」というものがあります。対策を重ねたときに見落とすリスクをチーズの穴が重なった点に見立てます。