やっぱりヘブンは山橋薬舗にいた!

 いたたまれず帰っていくサワ。彼女の気持ちをダイレクトに受け止められるのは、トキではなく、視聴者であろう。

 説明セリフの少ない『ばけばけ』だが、ここではサワにはっきり言葉にさせた。これは視聴者の代弁だと思う。

 ここまでずっと見続けてきた視聴者には、トキが労せず富裕層になったことに釈然としないものを感じている人もいるはずだ。そもそもトキが、世の中をうらめしく思いがちで、先に縁談の決まった人を「呪う」と言うなど、比較的、カジュアルに恨みがましく生きてきた人なのだ。

 それがすっかり橋の向こうの人に戻って、経済的な心配のない暮らしを手に入れている。のど元過ぎれば熱さ忘れるで、別人のようになっている。

 ほんとうならトキ、良かったねと喜びたいところだが、トキのように恵まれた人を呪いたい気持ちが、ここでようやく視聴者にもわかる仕組みとでもいおうか。それは考えすぎかもしれないが。

 帰るサワを追いかけるトキ。橋の上にトキ、下にサワ。この構図は三之丞(板垣李光人)との場面でもあった。トキが上から相手を見下ろす位置にいる。シビアな構図である。でもド頂点に立っているわけではなくて、途中の位置ではある。

 橋の上からトキは、ヘブンが山橋薬舗に入っていくのを見かける。

「今日こそヘブン先生がこちらに入っていくところをはっきりと見ましたけん」と乗り込むトキ。やっぱりサワのことよりヘブンのことが気になるのだ。

「あいにく今日もご覧の通り、閑古鳥がカッコーカッコー鳴いておりまして」と言う山橋の襟元に紅?

 オーマイガー。

 ベタベタな浮気疑惑は金曜日には解決するか。それより筆者が気になるのは、サワとの友情が経済格差によって絶たれてしまうか否かである。これはトキが女中業で20円を稼ぐようになったときから気になっていた問題だ。

「やましいことがあると…」浮気疑惑の“言動あるある”は明治時代から変わらない!?〈ばけばけ第74回〉
「やましいことがあると…」浮気疑惑の“言動あるある”は明治時代から変わらない!?〈ばけばけ第74回〉