『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、「なんで起こしてくれなかったの?」から考える子どもの危ない口癖について解説します。
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子どもの危ない口癖
「なんで起こしてくれなかったの?」
朝、寝坊した子どもが親に向かって放つこの一言。多くの家庭で、あまりにも日常的な光景かもしれません。
しかし、この言葉に象徴されるマインドを放置したままでは、総合型選抜や推薦入試で評価されることは、かなり難しいと言わざるを得ません。なぜなら、この一言の中には、「自分の行動の結果を、他人のせいにする思考」が、非常に分かりやすい形で表れているからです。
私たちが総合型選抜の合格者の志望理由書を分析していく中で、はっきりと見えてきた共通点があります。それは、合格している人ほど「自責マインド」を持っている、ということです。
ここで言う自責マインドとは、「自分を責めること」ではありません。自分を追い込むことでも、何でもかんでも自分のせいにすることでもない。そうではなく、身の回りで起きている出来事や、社会で起きている問題に対して、「これは自分とも無関係ではないのではないか」「自分も当事者の一人として関わっているのではないか」と捉える姿勢のことです。
たとえば社会問題に触れたとき、「誰かが解決すべきだ」と距離を取るのではなく、「自分にできることは何だろう」と考える。この視点こそが、自責マインドです。
「責任」という言葉を聞くと、重たく感じる人もいるかもしれません。しかし、ここで言っている責任とは、義務を背負い込むことではありません。自分が社会の一員であることを自覚し、状況を変える側に回る可能性がある、という意識に近いものです。
推薦入試でほぼ確実に問われること
推薦入試や総合型選抜では、面接や志望理由書を通して、ほぼ確実に問われることがあります。それは、「関心のある社会課題と、自分とのつながりは何か」「誰かに任せるのではなく、自分で動いた経験があるか」「失敗したときに、それをどう受け止め、どう次に活かしたか」といった点です。
ここで、「環境が悪かったから」「周りが○○してくれなかったから」といった説明が前に出てしまうと、評価は一気に下がります。大学側が見ているのは、条件が整っているかどうかではありません。条件が悪くても、自分の頭で考え、行動の主体になろうとする人かどうかです。これは、学力以前の問題だと言ってもいいでしょう。
どれだけ立派な活動実績があっても、語り口が「誰かにやらされた話」や「仕方なくそうなった話」になってしまうと、「この人は、環境が整わないと動けない人だな」と判断されてしまいます。
ここで、もう一度冒頭の一言に戻ってみましょう。
「なんで起こしてくれなかったの?」
この言葉を繰り返す子どもは、無意識のうちに、自分の行動の責任を外に置く習慣を身につけています。本来であれば、寝坊の原因は「夜更かしをしてしまった」「アラームを設定しなかった」といった、自分の行動の中にあります。しかし、それを振り返る前に、「親が起こしてくれなかったから」と理由づけてしまう。
この思考の延長線上にあるのが、「失敗は自分以外の何かのせい」という態度です。
このマインドのままでは、総合型選抜で強く求められる「自分の行動を振り返り、次につなげる力」を示すことはできません。失敗から学ぶことも、改善策を考えることも、すべて止まってしまうからです。
総合型選抜が見ているのは、完璧な成功談ではありません。むしろ、うまくいかなかった経験を、自分の責任として引き受け、そこから何を考え、どう動いたのかを語れるかどうかです。
「なんで起こしてくれなかったの?」という言葉が、「次はどうすれば起きられると思う?」に変わったとき、その子は初めて、総合型選抜に必要なスタートラインに立ったと言えるでしょう。
自責マインドとは、自分を縛るものではありません。自分の人生のハンドルを、自分で握るための力なのです。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




