現実は複雑です。それを一部の側面だけを捉えて過剰に単純化したり、結果がわかってから単純なことであったかのように思ってしまう罠が人の心理には潜んでいます。真の上達のために、一度ものごとを一歩引いて俯瞰して総合的に見てから、本当の改善点を発見していきましょう。

一番に考えるべきなのは
「報われる努力」について

 人間の認知は常に変化を続けています。しかし、後知恵バイアスのような偏りは自分自身が変化を続けていることから目を背けさせるものです。

 あなたの世界はあなたの認知でできています。改善しようにも、認知していない改善点は改善しようがありません。「失敗は成功の母」とは言いますが、失敗の原因を誤認してしまえば元も子もない結果になります。実現可能性のある目標に向かって努力をしなければ成功にはつながりません。

『カードゲームで本当に強くなる考え方』書影『カードゲームで本当に強くなる考え方』(茂里憲之 ちくまプリマー新書、筑摩書房)

 負けたとき、思い通りの結果にならなかったとき、ああすれば良かったという後悔の念が押し寄せてきます。もっと強いあのデッキを使っていれば、あそこで違うカードをプレイしておけば、対戦相手の使っていたデッキともっと練習しておけば……。このような「ああしておけば」を挙げ続ければきりがないでしょう。

「ああしておけばよかった」ではなく、「どうすればそれに気付けたのだろう?」と考えるべきです。「ああしておけばよかった」ことは、その時点では気付くのがとても難しいことだったかもしれません。あるいは、それは氷山の一角で、もっと大きな改善点が隠れているかもしれません。「ああしておけばよかったこと」よりもっと簡単に改善できて、もっと勝率を上げられる本質的な課題があるかもしれません。

 努力には、報われることと報われないことがあります。より報われる可能性が高いと考えるものに時間や労力を投資しましょう。