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年収800万円、部長職、妻と大学生の娘――順風満帆だった56歳の人生が、わずか1年で崩壊したきっかけは「介護」だった。妻と娘は家を出て離婚寸前、職場復帰の目処は立たず、退職が現実味を帯びてくる……認知症の父を支えるために「よかれ」と信じた選択は、何が間違っていたのだろうか?(NPO法人二十四の瞳、社会福祉士 山崎 宏)
ちょっとしたきっかけで人生が激変する恐ろしさ
高齢化が進む日本で、今後ますます深刻化しそうな社会問題の一つが、介護離職(家族などが要介護状態になった際、仕事を辞めざるをえなくなること)やビジネスケアラー(企業などで仕事をしながら家族などの介護をする人)です。
老親の介護問題に直面している人たちの約半分は非正規雇用者で、残りの半分は正規雇用の会社員、ベテラン現役世代です。私が相談を受ける中でも、特にダメージが大きいのが後者のケースです。
イメージとしては、従業員数1000名以上の会社の課長職~部長職で、年収600万~1000万円。家族構成は配偶者と子ども2人――だいたいこんな感じです。こうしたバリバリの現役世代ビジネスパーソンが、親の介護問題であっという間に人生が激変してしまうのです。
86歳の父、物忘れがひどくなり……
昨年、オンラインセミナーに参加していただいた斎藤健一さん(56歳・仮名)のケースは、介護休業制度は、活用の仕方を一歩間違うと、簡単に人生を崩壊させてしまうという恐ろしさを物語っています。これは、彼が「善かれ」と信じた選択の果てに、仕事も家庭も、そして人生そのものさえも失いかけた、わずか1年弱の物語です。
東京郊外、製造業の企業で部長職を務める斎藤さん。中堅機械メーカーの部長として10数名の部下を束ねる、真面目で責任感の強いタイプです。







