職場で「潰れる人」と「無敵な人」の決定的な差
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。
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職場の人間関係を楽にする
「境界線」の引き方
最近、「バウンダリー(境界線)」という言葉をよく耳にするようになりました。「自分と他人の間に境界線を引き、自分の問題と他人の問題を分ける」という考え方で、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーの心理学でも提唱されている重要なポイントです。
しかし、頭では分かっていても、実際にこれを行うのは簡単ではありません。相手が物腰の柔らかい人や、適度な距離感のある友人であれば線引きもしやすいですが、以下のような相手や状況では難易度が格段に上がります。
●関係性が近い・上下関係がある場合:親や、職場の上司など、どうしても影響を受けざるを得ない相手
●自分の性格:平和主義で穏やかに過ごしたい人や、自分の意見を強く言えない人
こうした場合、「こうすれば完璧」という魔法のような方法はありませんが、少しでも心を楽にするための現実的な対策はいくつか存在します。
1.物理的・心理的な「距離」を置く
最もシンプルな方法は「距離を置くこと」です。職場の上司相手では物理的に完全に離れることは難しいかもしれませんが、「心理的な距離」を意識的に置くことが非常に重要です。物理的に離れられる時は極力近づかないようにしつつ、会話においても以下のように「ドライな関係」を維持することをおすすめします。
●丁寧に、かつ事務的に:上司なので対応は丁寧に行い、仕事で呼ばれたらすぐに行きますが、それ以外では自分から近寄らないようにします
「余計なことを言わない」「最小限の接点にする」ことで、心の距離を確保しましょう。
2.秘密の「上司対策マニュアル」を作る
相手への苦手意識が強い場合、自分の中でその人を「観察対象」として俯瞰(ふかん)して見ることも有効です。おすすめなのが、自分だけの「上司対策マニュアル」を作ることです(※もちろん、誰にも見せてはいけません)。
●具体的な対策を決めてしまう:「機嫌が悪い時はこう返す」「この仕事を頼まれたらこう対処する」と、事前に自分の行動を決めておきます
書くことによって気持ちが整理されますし、「こういう人だから仕方ない」と割り切れるようになります。対策が決まっていれば、いざという時に迷わず「マニュアル通り」に行動するだけで済むため、精神的にかなり楽になります。
3.「出口戦略」を持って安心感を確保する
バウンダリーを引くこと以上に大切なのが、自分が安全な場所にいるという感覚、つまり「セーフゾーン」を確保することです。そのために有効なのが「出口戦略」を考えておくことです。
●転職活動(リサーチ)をしてみる:実際に転職するかは別として、求人を調べてみるだけでも効果があります。「最悪、ここに行けばいい」「他にも場所はある」と思えるだけで、今の職場への執着や恐怖が薄れます
実際に、適応障害手前で悩んでいる患者さんにも「元気なうちに転職サイトを見てみたら?」とアドバイスすることがあります。それだけで「あ、自分には選択肢があるんだ」と気づき、イライラが減ったり心が軽くなったりする方が多くいらっしゃいます。
自分を守ることを最優先に
「自分の問題と他人の問題を分ける」というのは、概念としてはそこで完結しています。それでも解決しないほどのパワハラやモラハラ、激しい気分の上下がある場合は、それはもう「上司の問題」であり「職場の環境の問題」です。
境界線を引く努力をしつつ、「いざとなったら逃げてもいい」という出口を用意しておくこと。作成した「上司対策マニュアル」の最後のページに、その出口戦略を書き加えておくのも良いかもしれません。何よりも大切なのは、あなた自身の心を守ることです。ぜひ、ご自分を一番に大切にしてあげてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。






