
西洋料理を毎晩食べちょる浮世離れした一家
新聞の影響力は強く、世間のトキたちへの対応が変わっていく。
買い物に出たトキを、町の人たちが遠巻きにじろじろ見る。
ザワザワザワ(オノマトペ使ってみました)。
「ヘブン先生の奥様だないかね」と聞かれ「はい」と応えると、ギャラリーはきゃーと大騒ぎ。
「やっぱしシジミも鯵(アジ)も西洋料理にするんかね」などと質問され、「よかったらこれを持ってって。きっと素敵なステーキとやらになると思うけん」とわかめを渡される。
やや嫌味な感じもするけれど……。
トキだけでなく、司之介(岡部たかし)もフミも騒がれていた。牛乳は倍以上売れ、家には行商の人がやたら訪ねて来た。
ヘブンはというと、「私? 私、変わらない。人、ジロージロー、いつものことです。イジンイジン。いつものことです」と、もはや諦めの境地。
そこで、はじめていままでのヘブンの気持ちを松野家の面々は知る。
「いつも、もの珍しい目で見られたり、声かけられたり、大変な思いしちょるってことだわね」
「いつもいつもご苦労様です」とねぎらうと、「お粗末様です」と返すヘブン。
「お粗末様は違うじゃろ」と司之介に突っ込まれ……。
「ところてん」や「お粗末様です」など、無自覚におもしろいのか。それともおもしろさを狙っているとしたら、日本の笑いも学ぼうとするヘブンの熱意を感じるが、さて。
そんな夕飯中、また梶谷がやって来た。
「『西洋料理を毎晩食べちょる浮世離れした一家』っちゅうのが、市民の目には文字通り『憧れの素敵な家族』として映ったようで、もう売れに売れましての」
「浮世離れした一家」という言葉が状況を端的にあらわしている。松野家は大衆の見世物にうってつけの存在になったのだ。本気で憧れている人はたぶん多くはないだろう。
この時代、異国人と結婚することは、こういうリスクもついてまわったのだろう。







