個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

儲かる株を選べる人が見逃さない「1つの数字の変化」Photo: Adobe Stock

数字の変化から、何が起きているのかを考察する

 窪田さんは、個人投資家にとって欠かせないスキルについて、次のように語っています。

会計はビジネスの言語です。業績が好調か、財務は良好か判断するには、会計という言語で語られている財務諸表を読む必要があります。(中略)全体を眺めて重要なポイントを瞬間的に理解できる目を持つことが大切です」(『株トレ ファンダメンタルズ編』より)

 では、ここで次の製造業の会社のバランスシートを見てみましょう。

 以下は、過去2年分の決算資料です。売上高と営業利益は横ばいです。しかし、バランスシートには見逃せない変化が起きています。

 いったい、どこに変化が起きているでしょうか。そして、その変化から何を想像できるでしょうか。

儲かる株を選べる人が見逃さない「1つの数字の変化」実際の企業のデータを参考に作った架空の銘柄です

バランスシートを見て、まず気づくべきポイント

 このバランスシートから読み取れるポイントを整理してみましょう。

現預金の減少

売上債権の増加

短期借入金の増加

 では、これらの変化が何を示唆しているのでしょうか。

売上債権の変化から想像できること

 売上債権とは、売掛金や受取手形のことで、商品やサービスを販売したものの、まだ回収できていない代金を指します。

 売上高も棚卸資産(在庫)も増えていないにもかかわらず、売上債権だけが増えているのは不自然です。

 売掛金の回収にトラブルが生じているのではないでしょうか。そのため、現預金が減り、運転資金として短期借入金を増やしたのではないか、と想像できます。

 たとえば、次のようなケースが考えられます。

・大口取引先の資金繰りが悪化し、代金の支払いが先送りされている。

・取引先が販売会社の場合、販売不振によって在庫が積み上がっている。無理に製品を買い取ってもらったものの、販売会社の倉庫で売れ残っている。

決算説明会資料を確認する

 ここまで、バランスシートから「何かおかしいかもしれない」という兆候を読み取りました。ただし、実際に何が起きているかは、数字だけでは断定できません。

 そこで必ず確認したいのが、企業の決算説明会資料です。決算説明会の動画も視聴すべきだと窪田さんは言います。

 決算説明会の最後に質疑応答があれば、H社のように売上債権の増加が目立つ場合、必ず質問が出ているはずです。