日本経済新聞社が2022年4~8月の勤労世帯の名目ベースの平均値をコロナ前の2019年4~8月と比べたところ、家計調査の分類で最も所得が少ないグループ(2022年同期は平均で月20.3万円以下)の消費支出は6.5%減った。

 これに対し、最も高い世帯(同50.4万円以上)は可処分所得が4.9%増、消費支出は7%増で、支出の伸びが所得の伸びを上回る結果となった(*1)。コロナ禍で積み上がっていた貯蓄の一部が消費に向かった可能性がある。一方、所得が少ない世帯は使えるお金は増えたのに消費は大きく減った。暮らしに欠かせない商品ほど値上がりが大きく、必需品以外に使うお金を節約しているためだ。

 スーパーマーケットのメイン顧客は中間所得層だった。だが中間所得層の減少と低所得者層の増加は企業の営業政策に影響を与える。原材料高騰で値上げが相次ぐ中、仕入れや物流などの効率化でメリハリをつけた価格政策や品揃えをしていかないと、生活者からの支持を得にくい構造になっているのだ。

(*1)『日本経済新聞』2022年10月9日

低所得家庭を支援する
スーパーマーケットも

 また、所得層ごとの消費傾向を踏まえた戦略を展開することで、顧客満足度を高め、売上を伸ばすことができるだろう。

 たとえば高所得層向けには、品質や産地にこだわった商品の特集や試食イベントを開催することで、購買意欲を刺激する。一方、低所得層向けには、価格訴求型のセールやポイント還元キャンペーンを実施することで、コストパフォーマンスを重視する顧客のニーズに応えられるはずだ。

 相対的貧困率の高止まりも日本社会の大きな問題だ。可処分所得が人口全体の中央値の半分に満たない人の割合は15.7%と、先進国では米国や韓国などに次ぐ高い水準になっている(*2)。日本のジニ係数(平等ならゼロで、格差が大きくなるほど1に近づく)は1980年以降緩やかに上昇し、高止まっている。所得差が大きい高齢者層が増えれば格差は拡大しやすくなる一方、雇用環境の改善は格差是正につながる。

(*2)厚生労働省「国民生活基礎調査」