値上げだけでは乗り切れない!スーパーが模索するインフレ時代の生存戦略写真はイメージです Photo:PIXTA

物価高が長期化する中、家計の防波堤として期待されるスーパーマーケットも選択を迫られている。原材料費や物流費の上昇による単純な値上げは客離れを招くリスクがあるためだ。元日本経済新聞記者として日本の流通を見つめてきた白鳥和生氏が、インフレ時代におけるスーパーの役割をつづる。※本稿は、明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科専任教授の白鳥和生『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。

物価・税金・社会保険料
値上がりが続く三重苦

 いまの消費に力強さはない。実質賃金が伸びない中、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は2023年が3.1%、2024年が2.5%上昇し、2025年に入っても3%前後の伸びが続く。物価高を踏まえると収入は目減りした計算だ。物価上昇の影響に加え、税金や社会保険料の負担増も大きい。

 負担額は高齢化の加速で2012年ごろから増え始め、2024年は13万5000円と、2000年より約4万5000円増加した。配偶者が働き始めて、世帯主の扶養対象でなくなったことで負担がむしろ増えてしまった人もいる。

 可処分所得は月39万8000円と、2000年を6000円ほど下回っている。特に現役世代が厳しい状況だ。60歳以上は定年延長などで働く人が増えて増加したが、35歳から54歳までの世帯はすべてマイナス傾向にある(家計調査)。

 足元で進む食品やエネルギー、サービス価格の上昇は、引き続き日本経済の懸念材料だ。物価高は低所得者層の家計を圧迫する。