『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、中学受験で受かった学校からの転校の是非について解説します。
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転校はいい選択? 悪い選択?
仕事柄、保護者の方から本当によく聞かれる質問があります。
「学校を転校させるのって、どう思いますか?」というものです。
特に多いのが、中高一貫校に通っているご家庭からの相談です。「中高一貫なのに、高校を変える選択をしていいのでしょうか」「途中で環境を変えるのは、逃げになるのでしょうか」と。自分の子どもを見て、あまり合っていないのでは?と感じるとか、授業の進度についていけていないとか、そういう場合に転校という選択肢が過るわけですね。
結論から言えば、転校そのものは、別に悪いことではありません。もっと言えば、席替えと同じようなものだと私は思っています。
どんな学校に入っても、どんな先生の、どんなカリキュラムの学校に行っても、人間関係、空気感、集団のノリが合うかどうかは、入ってみないと分からないですよね。
だから、「環境が合わない」「ここでは力を発揮しにくい」ということが起こるのは、決して珍しいことではありません。特に、中高一貫校の場合は、6年間同じメンバーで過ごすことになります。これは安定にもなりますが、同時に、逃げ場が少ない構造でもあります。
親が決めてはならない
とはいえ、ここで一つだけ、強く注意していることがあります。それは、親が決めすぎてしまうことです。「この学校は合っていないから、転校しよう」「こっちの方が将来に有利だから」。親が先に結論を出してしまうと、その選択は、子どもにとって“自分の決断”ではなくなります。だから私は、必ずこう言います。「最終的には、本人が決めてください」と。
私が子育てや進路指導で重視している考え方があります。それが、12歳以降は、決断の回数を意識的に増やすべきということです。12歳くらいまでは、親がある程度レールを敷いてもいい。適性を見る時期でもあります。
しかし、それ以降は違います。中学生・高校生になったら、続けるか、やめるか。この学校で行くか、変えるか。この環境を選ぶか、別を選ぶか。こうした選択を、自分で決める経験が不可欠になります。
たとえば、習い事。「もったいないから続けなさい」「せっかくここまでやったんだから」。親がそう言いたくなる気持ちは分かります。
でも、続ける・やめるを自分で決めた経験と、なんとなく続けさせられた経験では、後に残るものがまったく違います。
学校選択も同じです。今の学校に残る、高校受験をする、転校する、通信制高校を選ぶ。どれが正解かではありません。自分で考え、選び、その結果を引き受けること。それ自体が、最大の学びになります。
転校という選択は、日本ではどうしてもネガティブに捉えられがちです。でも私は、環境を変える判断ができること自体、立派な力だと思っています。大事なのは、「転校したかどうか」ではなく、「どう考え、誰が決めたか」です。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




