『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、大学受験における「英検神話」について解説します。

英検Photo: Adobe Stock

増え続ける「英検神話」

自分が進路について親御さんからお話を伺うときに、最近よく聞かれる質問があります。それが、「英検を取らないとダメですよね?」という質問です。総合型選抜では英語資格が重要だという話を聞くし、みんな取っている。だから英検を取らなければならないんじゃないか?ということですね。

もちろん有利になるのは事実ですが、「取らないとダメ」というのは少し違うのではないか、と自分は考えています。

総合型選抜というと、英検だけでなく、IELTSやTOEFLといった英語資格ばかりが注目されがちです。その結果、「英語が得意じゃない=総合型は無理」と誤解してしまう家庭も少なくありません。しかし、総合型選抜の本質は「何をどれだけ頑張ってきたか」ではなく、「自分で頑張る対象を選び、やり切ったか」にあります。評価されているのは科目ではなく、姿勢なのです。

一橋大学商学部が示す多様な選択肢

このことが最も分かりやすく表れているのが一橋大学商学部の推薦入試です。出願要件として、以下のいずれか一つを持っていれば受験可能としています。

・英検1級
・フランス語検定準1級
・ドイツ語検定準1級
・中国語検定準1級
・数学オリンピック予選
・応用情報技術者試験

注目すべきは、英語以外の選択肢が明確に用意されている点です。一橋大学が求めているのは「英語が得意な学生」ではなく、自分の関心や得意分野を見極め、そこに時間とエネルギーを投下できる学生なのです。

社会が求める力とは

今の社会が求めているのは、「言われたことを平均点以上でこなせる人」ではありません。何に力を注ぐかを自分で決め、周囲と同じ道でなくても不安に耐え、最後までやり切る力を持つ人材です。大学も企業も、「頑張る対象を選べる人」を評価する方向に確実にシフトしています。総合型選抜は、その価値観を最も早く取り入れた入試制度だと言えるでしょう。

誤解しないでほしいのは、「英検を取るな」と言っているわけではないということです。英語が好きで力を注ぎたいなら、それは素晴らしい選択です。ただ、「みんなが取っているから」という理由だけで英検一択になる必要はありません。

親御さんにお願いしたいのは、「この子は何なら本気になれるのか」「英語以外で長く向き合えるものはないか」「周りと違う道を選んでも支えられるか」という問いを持つことです。

総合型選抜は資格の多さを競う入試ではありません。「この子は、これを選び、ここまでやり切った」と語れるストーリーを作れるかどうか。そこにこそ、合否を分ける本質があります。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)