『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、子どもの進路で悩んだときに考えたいことについて解説します。
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子どもの進路で悩んだときに考えたいこと
「子どもが、こんなことを言ってきたんですが、どうすればいいですか?」
「突然、考えが変わったみたいで……どう対応するのが正解ですか?」
仕事柄、保護者の方から子どもとの関わり方を相談いただくことがよくあります。そのたびに、私は少しだけ立ち止まって考えます。そして、ほぼ同じ答えを返すことになります。
「その話、どれくらい聞きましたか?」と。
「医者になりたくない」と言われた親
たとえば、こんな相談です。
「うちの息子、小さい頃から医者を目指してきたのに、最近になって『やっぱり医者になりたくない』って言い出したんです。どうしたらいいでしょうか?」
このとき、多くの親御さんは一気に不安になります。今までの努力は無駄になるのではないか。自分が理想としていた進路を、そんなに簡単に変えていいのか。こうした不安を抱えたまま、子どもを説得しようとしたり、どの進路に進むかの先の話を始めてしまう。でも、私はいつも思うのです。「それ、早すぎませんか?」と。
子どもが進路について考えを変えること自体は、まったく珍しいことではありません。問題なのは、「なぜそう思ったのか」を、親が知らないまま結論に進んでしまうことです。
何か嫌な出来事があったのか。憧れていた職業の現実を知ったのか。別の分野に強く惹かれる経験があったのか。それとも、周囲との比較で揺れているだけなのか。
理由によって、対応はまったく変わります。それなのに、「どうすればいいですか?」と答えを求めてしまう。でも本当は、答えを出す前に、やるべきことが山ほどあるのです。
親がやるべきなのは「判断」ではなく「聞き役」
ここで一番大事な姿勢は、とてもシンプルです。結論を急がずに、ただ、聞くことです。
いつからそう思い始めたの? きっかけは何かあった? 今、何が一番引っかかっている?
この段階で、「でもさ」「それは違うんじゃない?」と言ってしまうと、会話は終わってしまいます。子どもは、「考えを変えたら怒られる」「本音を言うと面倒なことになる」と学習してしまう。それが一番、取り返しがつかないのです。
「相談してくる」のは信頼されている証拠
そもそも、子どもが「やっぱり医者になりたくない」と口にしたということ自体、非常に重要なサインです。それは、親を信頼しているという証拠だからです。
もし本当に「どうでもいい存在」だと思っていたら、何も言わず、勝手に離れていきます。だからこそ、その言葉が出た瞬間にやるべきなのは、ただ話を聞いて、関心を向けることです。
想像していなかった進路を子どもが口にすると、不安になってしまいますよね。ただ、そうすると、会話の主語が、「この子は何を考えているか」ではなく、「この進路は大丈夫か」になってしまいます。進路はあとからいくらでも修正できますが、親子の信頼関係は、修正がききません。
進路に迷いが出ることは、悪いことではありません。考えが変わるのも、成長の一部です。
だから、「どうすればいいですか?」と聞きたくなったら、こう問い直してほしいのです。
「この子の話を、十分に聞いただろうか?」
子どもは、“聞いてくれる大人”がいるだけで、驚くほど自分で考え始めます。子育てで一番難しいのは、子どもの話に興味を持ち続けることです。まずは、もっと聞きましょう。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




