2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。発売直後に大重版となり、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
職場環境を変えたい
以前勤めていた会社で、「職場改善運動」が行なわれたことがあった。
経営状況も悪く、とにかく「変わらなきゃ」ということだったのだろう。
匿名で改善点や不満を投書してもらったり、各部署から職場改善係を集めて会議をしたり、いろいろやっていた。
会議の結果、いくつか新たに決まったこともあった。
毎月一回、全社員で職場をきれいにするとか。
昼休みの電話番は部署の持ち回りにするとか。
それで、職場環境は良くなったか?
残念ながら、あまり改善された記憶がない。
むしろ「全社員で掃除すると決めたはずなのに、上層部がやっていない」「結局、昼休みに全員が外に出る部署があったりして、スムーズな持ち回りができない」などなど、むしろ怒りの言葉をよく聞くようになり、いつのまにかフェードアウトしていった。
あの会議は何だったのか。
結局、変わらない理由
組織を良くするための具体的な方策が紹介されている書籍、『組織の違和感』には、まさに「結局、変わらない組織」が出てくる。
一念発起して組織を良くしようと話し合い、みなが納得した新しいルールを定めたとします。最初のうちは、みんなそのルールに従おうとするでしょう。でも、1週間経ち、2週間経ち、1か月経つと……また元どおり。「制度は意味ないんだよな」「上は下のことをわかっていない」なんて声も聞こえてくるかもしれません。
――『組織の違和感』p.68より
あれ、見られていたのかなと思うくらい、そのままだ。
私のいた会社が特別だったわけではなく、さまざまな組織で起きていることなのだろう。
なぜそんなことが起きるのだろうか。
著者の勅使川原真衣氏は「お互いの目線が合っていないから」と述べている。
本当の問題点がわからないまま、それっぽい解決策を話し合っても、真に良い制度は作れないという。
確かにそうだ。
上層部から「職場改善の会議をやれ」「とにかく何かを変えろ」と言われて、「不満に思っていて、すぐに変えられそうなところ」を出してみたが、なんか……そういうことじゃないんだよ、という空気が漂っていた。
変える前にやるべきこと
本書にはこうある。
まずやるべきことは「変える」ことではありません。「見る」ことです。
ちゃんとそこにいる人を、その人のやっている業務を、そして何より自分自身を見ることができれば、やるべきことは自ずと見えてきます。
――『組織の違和感』p.69より
そして、「観察」のステップを解説している。
とにかく変わらなきゃ、ではなく、まずは観察してお互いの目線を合わせなければ、職場改善はできないのである。
職場を変えたいのに変わらない、どこを変えたらいいのかわからないという人に、役立つ一冊となるだろう。
(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)
小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太